東南アジア熱帯の植物 幹生花(果) バナナの原種 アルソミトラ
2006/11/23
追記 2007/05/11・2007/09/30
私が初めて板根の実物を見たのは10年以上前のこと。
マレーシアのペナン島の植物園だった。
ただびっくりするだけだった。
熱帯にはこんな不可思議な植物があるのか!
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マレーシアのペナン植物園で見た板根。 太い大きな木の根元にまるで羽車のようなものがついている。 その薄い板状のものが大きく回っているような形で四方に何枚も出ている。 その薄い板の後に人が立つと、胸のあたりから上の方しか見えない。 つまり板根の高さは約1mであった。 こんなに大きなものだから、小型のカメラでは全景を写すことはできず、 何枚かの羽のうちの1枚だけを写したが、 それでも1枚全部は視野に入らなかった。 この板根は今でも健在なのだろうか。 機会があったら もう一度訪ねてみたい。 1993/07/25 |
それまで「板根」とは何かも考えずに口にしていたが、
図鑑や事典などで調べて、今では私なりに次のように理解している。
一般的に「根」は地中にあるのが普通である。しかし「板根」と呼ばれているものは地上に出ている。
「根」と呼ばれているものは、発芽の時からできるもので「主根」と「側根」がある。(但し単子葉植物はひげ根)
それらの根を「定根」と呼ぶこともある。
それに対して「板根」は発芽の時からできるものではないので「定根」ではなく「不定根」と言われる。
一般的に「根」の働きは何か。3つと言われる。
その植物を支えること・養分や水分を運ぶこと・地中にある無機質や水分を吸収すること。
それでは「板根」は何のために地上にできたのか?
私の考えに過ぎないのだが、一番の目的は「支えること」だと思う。
熱帯では木の成長はすごい。60mにもなる木がある。
その高くて大きくて重い樹木を支えることは大変なことだ。
地上部と同じくらいの深さや面積がなければ、その木を支えることはできないという。
とてもそれだけの深さや広さに根を張ることはできない。
そこで、このような「板根」というものができてきたのだと思う。
また事典によっては「呼吸根」の1つという考えがある。
根は呼吸しているわけだから、「板根」が呼吸の働きをするのは当然だろう。
その後も「板根」を見た。
インドネシアに「ボゴール植物園」がある。
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園内を歩いていると大きな板根があった。
ここで見たものも大きかった。
相変わらず大きい。「板根」と言わず「巨根」と言いたい。 この前来た時から10年以上過ぎているので、この板根の大きさは変わっているのだろうが、 これを前にすると、そんなことはどうでも良くなってしまう。 2007/09/05 |
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思わず記念写真を撮りたくなる。 |
この木の全景を撮りたい。少し離れてみたが無理だった。 正式な高さは分からないが、 私の目測では40mは超えているのではないかと思う。 |
カメラを縦に持ってみたがやはり駄目。 どこから撮ったら全部が入るのだろうか。 大草原の真ん中の1本立ちの木ではないのだから、 あきらめるしかないのだろう。 |
この板根もボゴール植物園の中でみたもの。 上記のものほどは大きくない。 この板根と上記の板根とは形が少し違う。 樹種による違いなのか、それとも まだでき始めなので、羽車のようにくねくねと していないのか。 1994/6/14 |
板根は日本でも見られる。
有名なのは 西表島の「サキシマスオウノキ」(アオギリ科)だろう。
マングローブを見るために、観光船が仲間川を上って行き、
このサキシマスオウノキの板根を見て下ってくるという観光客のお馴染みのコースであ。
ここの板根も大きいうえに周りが狭いので全景は写せなかった。 2000/3/14 |
近くに観光客がいたので、そばに立っていただいた。 |
関東地方でも 小さな板根は見ることができる。
「ムクノキ」(ニレ科)は板根のようなものを地上に出す。
古くて大きなムクノキに見られる現象だ。
また植物園などでは熱帯の板根が展示してあるところがある。
枯れたものだけれど。
茨城県の筑波実験植物園や東京都の夢の島熱帯植物園などで見られる。
筑波実験植物園に展示してある板根。 子どもが乗って遊んでいた。 |
追記 2007/04/25 |
2001年10月、四国の遍路道を歩いていると
道の横に不思議な形の樹木が生えていた。
この日は朝から雨が降っていたが、歩き遍路は止めることはない。
雨の中を歩いて行った。
よく見ると、なんとムクノキの大きな板根であった。
近くに傘を置いて写真を撮ったが、
痛々しい傷が生々しくついている。
どうやら板根が道の方まで突き出ているので、道に出ている部分を切り取ってしまったようだ。
可愛そうに!
歩き遍路はただそう思うだけだ。どうすることもできない。
追記 2007/05/11 |
2001年8月、マレーシアのランカウイ島に行った。
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そこで素晴らしい板根を見たがただ見ただけだった。
この木が何であるか、板根の大きさはどれくらいあるのかといった観察はできなかった。
そこは大きなホテルの庭であるが、うっかりそばに行ったら大変なことになる。
木の根元に赤いアリが、アリ塚を作っておびただしい数の赤いアリが動いている。
大きさは1.2cmくらいあるだろうか。
ここの赤いアリは特に大きかった。
うっかり板根のそばに近寄ろうものなら、赤いアリの大群に襲われて、
「救急車で病院へ」ということになるそうだ。
別なところの話だが、実際に日本人がアリの巣の中に足がはまって大変なことになったそうだ。
幸い命には別状はなかったそうだが恐ろしいことだ。
そういうことがあるのが熱帯というところだ。
この赤いアリは全体に大きいようだ。
他のところで、公園の芝生を散歩していたら、突然赤いアリが噛みついてきた。
土地の子どもは赤いアリにさされるととっても痛いということを
生活の中で学んできているから大騒ぎはしない。
それにしても、ランカウイ島で出会ったアリは大きかった。
アリは1mm以内くらいの小さなものから4〜5mmぐらいまで いくらでもいる。
色も黒・茶色・などさまざまだ
アリを怖がっていたら熱帯には行けない。
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