植物の話あれこれ


2009/10/15

秋に実ったギンナン(正しくは種子)はやがて木の下に落ちる。
食べるために拾われることも多いけれど、木の下にはたくさんのギンナンが落ちたまま冬を越す。
あるいは ゴミとして山のように1か所に捨てられることもある。
それらのギンナンは落ちたまま、つまり、べたべたした臭い部分(外種皮)をつけたままの姿である。
それらのギンナンは、上から落ち葉が積もったり、時には柔らかい土のために雨などで土中に潜ったリして、春の芽生えを待つ。

でもたくさんのギンナンは、そのまま日光や風雨にさらされて、乾燥してしまい、発芽できない。

幸運にも発芽できたギンナン達の様子を追った。


ここでお断り ギンナンに関する「用語」について

ギンナンに関する用語はいろいろな見解があるようで、素人の私にはどうしてよいのかわからない。

私が調べたところでは次の2つの説があるようだ。

第一の説 
種子(ギンナン)の皮について、外種皮・種皮中層・種皮内層の3つとする見解。
外側のべたべたでくさいものが外種皮
堅いからが種皮中層
薄い膜質のもの?(これより中の部分が?)が種皮内層

第二の説
ギンナンの皮を外種皮・中種皮・内種皮の3つとする見解。
外側のべたべたでくさいものが外種皮
堅いからが中種皮
薄い膜が内種皮

これらがどのような根拠でそのようになるのか?
素人の私にはさっぱりわからない。

そこで、私は、「第二の説」に従って記述を進めることにした。

またその他の「用語」についても、おかしいところがあるかも知れないので
お気づきになった方は、ぜひご指導ください。


ふつう我々が播種するときは、ギンナンを洗って臭いべたべたした部分(外種皮)を取り除き、鉢やプランターに播くだろう。
しかし自然界では、洗ってくれることも、土をかぶせてくれることも、水をまいてくれることもない。
自然界での発芽の様子を見てみよう。


春5月、東京ではイチョウの芽生えを見ることができる。


イチョウの発芽は5月から6月にかけてが最もたくさん見られるが、所によっては、8月まで見ることができる。
発芽期間が長いので、見逃してもどこかで発芽しているので、観察は比較的容易である。


根がうまく土の中にもぐりこむことができて
発芽が成功した。
外種皮の部分は乾燥して剥がれ落ちた。
中種皮(固いから)が割れて幼根や胚軸や
葉が出てくる。
内乳(食べるところ)は中種皮の中にあり、
出てこない。
  8月18日
こんなに太くて長い根。
イチョウのたくましさを感じる。
外種皮(べたべたの部分)は乾燥して
いるが
まだしっかりついている。
  5月15日
枯れ葉の下にあったものは、
乾燥を避けることができてうまく発芽できた。

真ん中の白いものは「フイリイチョウ」の発芽。
  5月15日


また次のようなことにも出会うことがある。

イチョウの木の下には小さな砂利が一面に撒かれていた。
あるものは乾燥してしまい、あるものはわずかの水分で発芽していた。

A:発芽できない。 B:うまく土の中に入り込めて発芽できた。
C:やや乾燥気味、フイリイチョウか?  D:なんとか発芽して頑張っている。
  8月18日
イチョウの木の股に落ちたギンナンの発芽。
でも大きく成長することはできないだろう。

連理のように親木と合着できればよいが、
たとえできたとしても1〜2本だろう。
  7月8日


次に発芽の様子を詳しく見てみよう。

一般に被子植物の双子葉植物の発芽の順序は、種子からまず幼根が出て次に胚軸そしてふたばが出てくる。
その後、本葉が次々と出てくる。
その本葉の形はいきなり成葉であったり、はじめは形が違っている場合も何節目かからは本来の成葉の形になる。


イチョウは裸子植物だから、発芽の様子が少し違う。子葉(ふたば)はない。

まずはじめに堅いから(中種皮)がわれて、幼根が出て、次に胚軸や葉が出てくる。
その茎に葉は初めから互生に付くのだが、初めは細長い長方形のような形の葉で、葉身と葉柄の区別がないような形の葉であるが、
徐々に成葉(イチョウ型の形)へと変わっていく。
第3節目〜6節目くらいから成葉の形になる。
以下はその様子である。


まずはじめに発芽の様子を概観しよう。


次にいくつかを見てみよう。
葉の形が成葉の形になるまでの節の数は一定ではないようだ。


また葉の形が成葉であっても、切れ込みの深い「大昔の」成葉に近いものもある。
発芽の時や徒長枝などの葉は「昔の葉の形」が現れることは他の植物でも見られることで、
イチョウに限ったことではない。いわば「先祖がえり」とみてよいのではないだろうか?


次にこれらの葉が下から螺旋状に付いてくること。
裸子植物だから、当然と言えば当然なのかもしれないが。
その様子を見てみよう。
画像では分かりにくいが判読していただきたい。
螺旋状に葉が出てくる。番号を追って見ていただきたい。



以上がギンナンの発芽の様子である。


最後に、ギンナン(種子)の様子を詳しく見てみよう。



1月下旬
黄色く色づいた外種皮も茶色になってしまった。
中のべたべたも乾燥が進んできて皮にしわができている。
内種皮は薄い膜状だが、下半分は白っぽい色で
上半分がこの様に茶色で、区切りがはっきりしている。



1月下旬
食べるところが内乳だが、実際は、中にある胚も
一緒に食べてしまう。
胚を取り出してから内乳だけを食べる人は
おそらくいないだろう。
このギンナンは冬になってから拾ったものなので
胚がかなり成長している。
内乳の養分で成長したものと思う。
内乳の中から取り出した胚。
葉の形は成葉ではなく、四角形
のような形をしている。
これが発芽した時の第1節と
第2節の葉になるものと思う。

1mm方眼紙
胚が見えないのは まだ受精していないため。
それでも内乳はできつつある。
胚の養分になるのだから今から準備中。

上の方から入った花粉はこのとき花粉室に入っている。
受精の儀式は8月〜9月頃。




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