東南アジア熱帯の植物  板根  バナナの原種  アルソミトラ

2007/05/11

東南アジアの植物で、特に特に驚いたのは、幹生花(果)と板根であった。

(板根については 板根 のところを見てください)

大きな果実が太い木の幹から直接ぶら下がっている。
太い幹に小さな実や花がたくさん付いている。
細い枝に花や実がびっしり付いている。などなど。
それが幹生花(果)だと言うのだ。

この幹生花(果)という性質は熱帯の樹木の特徴の1つで、
温帯などでは見られないものであるという。

「花や実は必ず葉腋に付く」と教わってきたはずの事柄が通用しないではないか!


ホウガンノキ


マレーシア、ペナン島の植物園で見たホウガンノキ(サガリバナ科) Couropita guianensis
1993年7月23日のことだった。

私が熱帯で幹生花(果)を初めて見たのはこれよりも以前ではあったが、
このホウガンノキは今でも忘れられない、強い印象で残っている。

スポーツに「砲丸投げ」というのがあるが、あれを思い起こさせる。
長い枝のようなものは「花軸」のあと。
この花軸にたくさん大きな花が咲いていた。
でも その中で果実になるのは1〜2個ぐらいだそうだ。
すぐそばに、丸い砲丸のような果実がぶら下がっている木があった。
木の高さも高いが果実の大きさは人の顔よりも大きい。

この木の原産地は南アメリカ、ギアナ地方らしい。
それが熱帯各地の植物園などに植えられているとのことだ。



クワ科の一種

インドネシア、ジャワ島のボゴール植物園で見たクワ科の幹生花(果)。
1994年6月14日。

「クワ科の植物は幹生花(果)を作りやすい」とは聞いていたが、
この状態を見るまでは、どんな様子なのか想像ができなかった。

高くて太くて大きな幹に点々と小さなものがついている。
それが花であり果実なのだ。
クワ科だからイチジク状花(果)である。

この幹生花(果)も熱帯でなければ見られないだろう。
この種名は分からないが私には強く印象に残った幹生花(果)であった。




ホウガンノキもこのクワ科の木も花や果実が太い幹から直接出てくる。
これが「幹生花(果)」だという。
それに対して幹だけではなく、枝からも花や果実が出てくるものがある。
それを「枝生花(果)」だとする人もいるようである。
どちらにせよ葉腋から出てくるわけではない。
私はどちらも「幹生花(果)」としてまとめている


ドリアン

東南アジア熱帯で「果物の王様」と言えば「ドリアン」である。
このドリアンも幹生花(果)で、いわば「幹生花(果)の代表」である。

普通は幹よりも枝についていることが多いようだ。

ドリアンはパンヤ科の果樹 Durio zibethinus
原産地はマレーシア・インドネシアであるから、
ドリアンの好きな私はその季節に訪れたときはできるだけたくさん食べるようにしている。

ドリアンは農場(農家?)で作られることが多く、栽培品種の種類が大変多いようだ。
朝、落果したものをその日のうちに売り尽くす。
ドリアンは傷みやすく、翌日には味が悪くなり売れ残ってしまう。

、農場のドリアン林では木の高さが高く幹生花(果)の様子はよく分からない。

でも郊外に行くと、普通の民家の庭に植えられていて、その幹生花(果)の様子がよく分かる。
また花の時期には「黄白色の群生する幹生花」を見ることもできる。
「こんなに花が咲くが大丈夫なのだろうか」と思ったがこの中で果実になるのはほんの一部だろう。
写真はいずれもマレーシアの各地で。



パラミツ

「世界最大の果実」といわれているパラミツがあるがこれも幹生花(果)である。
これは「ジャックフルーツ」、ともいわれるが、土地の人は「ナンカ」と言っている。
インド〜マレー半島が原産地のクワ科  Artocarpus heterophyllus  とにかく大きい果実(果物)である。

それが幹や太い枝から直接ぶら下がっているのはいかにも熱帯らしい光景である。
私はこれを生で食べるが、大き過ぎるのでスーパーに行って小分けしたものを買って来て食べる。
民家の庭に植えられている木はあまり高くはなく、果実も小さい。
その果実が目に付くようになると、果実に袋をかける。
猿やねずみ、コウモリや小鳥や虫などに食べられないためらしい。
いつも見慣れている家の周りは、常に猿たちがうろうろしている。
もしも彼らに食べられたら一溜まりもないだろう。
これらの写真はすべてマレーシアの各地で。



コパラミツ

パラミツに似ていて小さくて甘味も増していて料理などに使っている「コパラミツ」というのがある。
これもクワ科の幹生花(果) Artcarpus integra
マレーシアでは「チペダ」といっている。
私は最初はパラミツとの区別がつかなかったが、見慣れてきたら違いが分かるようになった。
この実をてんぷらにして食べるが、種子も、から揚げにして食べる。



カカオ

日本国内の植物園の温室で必ずと言ってよいほどどこでも見られる幹生花(果)のカカオ。
このカカオも幹生花(果)の代表の1つである。
太い幹に小さなピンクの花がいきなり、しかもたくさん咲いている。それは1年中見られる。
あの小さな花が果実になると、大きくなって幹にくっついている様子は日本のものではない。
やはり幹生花(果)そのものだ。と思い知らされる。
次の画像はマレーシアとインドネシアで撮ったもの。


カカオ Theobroma cacao はアオギリ科の小高木で、南米原産の植物である。
チョコレートやココアの原料となる。
たくさんの花の中で(一説には200〜300個の花)やっと実った果実は15cmくらいになる。
少し傷がついたりすると、アリの行列がすごい。甘い果実なのだ。

インドネシアやマレーシアでも植栽されているが、
温室の中ではなく、部落の道端でこの果実を見るのは、熱帯らしい光景である。



ランサ

私がはじめてこのランサを見たとき、私の好きなリュウガンかと思った。
粒の大きさも皮の色も似ていたから。
1粒食べてみてリュウガンではないことが分かった。
リュウガンは甘いが、このランサは甘酸っぱい。
このランサが大きなかごにたっぷり入って並べられている。
この果物はどんな木になるのだろうか、と思っていた。

あるとき、知り合いの農場でランサがたわわに実っているところを見た。
「これがリュウガンならよいのに」と思い採って食べる気がしなかったが、
あちらの人たちは喜んでつまんで食べていた。
暑いところだから、すっぱいのがよいのかも知れない。


ランサ Lansium domesticum  はマレーシア原産のセンダン科の小高木で幹生花(果)。
まるでブドウが房のまま木にぶら下がっているようだ。

バンレイシ

私が始めて見た「幹生花(果)」はこのバンレイシだった。


土地の人はこれを「ノナ」という。
バンレイシ(ノナ) Annona squamosa はバンレイシ科の果物で
直径10cmくらいの大きさの果実である。
幹生花(果)であることが面白かったが、それ以上に、うろこに覆われたような皮の果実、
これが果物だというのだ。
アルマジロの皮のようにごつごつして硬いだろう。どのようにして食べるのか、と思った。

表面が緑のうちはまだ熟していないそうで、色が薄い茶色になった物を採ってくれた。
うろこの部分に触ると、全く硬くなくむしろ柔らかい。
うろこの皮の部分を除いてその中身を食べたが甘い甘い。
砂糖の甘さとは違ったむしろいやな甘味だった。
それからは私はこのノナはすすんで食べようとはしなかった。

ある時、ノナをいただいたので、もっと甘くしようと2〜3日置いておいたら、
うろこの皮がべたべたになってしまった。
このように食べる時期が限られているためか、スーパーなどではあまり見かけなかった。

名前の分からない幹生花(果)

熱帯ではまだまだたくさんの幹生花(果)を見ることができるが、名前の分からないものが多い。
幹生花(果)は果物だけではない。
それらの中で特に面白かったのはつぎの幹生花(果)であった。

この幹生花(果)がローソクノキであることが後でわかった。


幹生花(果)とは


幹生花(果)とは何だろう。
種子植物は茎頂(茎の先端)と葉腋(葉のつけね)に芽が出て枝になったり花が咲いたりするのが大原則である。と
耳にたこができるほど言われてきた。
ところが熱帯で見たものは茎頂・葉腋・節などとは無関係に、太い幹に花が咲き太い枝に果実がぶら下がっている。
この現象はどういうことか。
花が咲き果実がぶら下がるということは、そこに芽ができていたということのように考えるが、
そうではなくて、潜伏芽が太い幹や枝に直接花を咲かせるのだ。

それでは「潜伏芽」とは何か?
芽が出る時期に出ないで、休眠しているとその茎(枝)が成長するので、芽はその枝の中に埋まってしまう。
そのままなら もう活動しないで終わってしまうのだろうが、
中には何年か後に活動を再開するものが現れる。
そして太い幹や枝に花を咲かせるということになるらしい。

何となくすっきりしない理屈だ。
毎年毎年、潜伏芽が出てきて幹生花(果)を付けるということになる。
それだけ熱帯の植物は複雑だということなのだろう

そう考えると、日本で見られる「ソメイヨシノ」や「ハナズオウ」の花も「幹生花(果)」と考えてよいのではないだろうか?






    東南アジア熱帯の植物のTOPへ