ミニ観察

2007/02/10

20年以上前のことである。
ある先輩が キジョランの種髪を1個くださった。
「えっ! これなにっ?!」と私。

そのとき以来 いつの日かキジョランという植物を詳しく観察したいと思っていた。




キジョラン………種髪が飛ぶまで  問題提起


秋から冬にかけて

キジョランの種髪。
山を歩いていると、
このようなものが落ちている。
白髪の鬼女が髪を振り乱しているようだ。
手のひらに乗るくらいの
大きさ。
真ん中に種子が見える。

種髪とは種子に付いている
毛の束のこと。

キジョランの場合は
種子の先端に付く。

キジョランはつる性の
常緑多年生の草本。
(図鑑によっては木本)

下部は木質、
上部は緑色をして草本
を思わせる。
つるは絡まるところを
見つけると
あたりかまわずどこまででも
絡みながら伸びていく。


やがて太い木にたどり着き、絡み始めると
花が咲き、果実ができるようになる。


このことは
テイカカズラが地面を這いまわっている間は、
花が咲かないが木に絡み付いて這い上がると
花が咲き果実ができることに似ている。


その1

1年目  4月
つぼみが見える。
もう少し前からつぼみは出ていたはずだが気が付かなかった。
その2

1年目  5月
つぼみが少し膨らむ。
花序の柄と小花柄が見える。
その3

1年目  6月
葉腋から花序の柄が出ているがこの花序にはまだ小花柄は出ていない。
4月〜6月はあまり変化が見られない。


その4

1年目  7月
つぼみが膨らみいよいよ
開花するのだろう。
1年目  7月
別な花序は開花が進んでいた。
ほぼ散形花序であることが
はっきりしてきた。
その5

1年目  7月
開花の様子がはっきり見える。


その6

1年目  7月
近くでは落花が進んでいた。
でも 花粉らしいものは
落ちていない。
1年目  7月
葉の上、土の上などにたくさん
落ちていた。
こんなにたくさんの花があるのだから
花粉が落ちていないのが不思議だ。
花のつくり
落ちていた花の大きさは3〜4mm。
花弁は合弁で5裂。
がくは落ちていなかった。
花弁の中に見えるものが何なのか
分からない。副花冠だろうか?



花のつくりについて、ある図鑑には、
「花弁の中央に副花冠と 雌しべと雄しべの合体したずい柱がある」
と書いてあった。
もしそうであるなら、私の見た「落花した花弁の中に見えたもの」は副花冠ということか?
雌しべと雄しべの合体したずい柱は、がくと一緒に残っていることになる。
そうでなければ果実はできないから。
またそのようなつくりだから、落花数が多くても花粉が見られなかったのかも知れない。

詳しいことは、落ちていない開花中の花を採ってみなければ分からない。
でもそこまでは良心がとがめてできなかった。
写真を撮るだけで精一杯だった。

この場所は大切に大切に育てられている場所なのだ。



その7

1年目  8月
まだ花が咲いている。
次々と咲いている。
花期が長い。
1年目  8月
太い幹に巻き付いて花を
咲かせていた。
こんなに遅く咲いても果実はできるのだろう。




この後、当然のことながら、小さな果実が生っているはずなのだが、見つけることができなかった。

この年のうちにあの大きな果実にまで成長するのだろうか?
(開花は6〜8月、果実が熟して種髪が飛ぶのが11〜12月)

さらに6月頃見つけた2〜5cmの小さな果実はいつ咲いた花が実ったものなのだろう。

資料を調べてもこのことに関しての記事は載っていない。


ここで私の問題提起である。


私は次の2つの説を考えて見た。

その1  
1年説  春に花が咲き、秋実り 種髪を飛ばす。



 その2 
2年説  1年目の春に花が咲き、2年目の秋に実り 種髪を飛ばす。

すべての株が同じ年に開花せず自然にずれていて、
結果として毎年 種髪が見られることになる。



私の このレポートは「2年説 果実は翌年に熟す」という前提でまとめてみた。



キジョランのつるはどんどん伸び太い幹を幾重にも
巻いている。
これらが何株のつるなのかは
全く分からない。
キジョラン同士も絡み合って
いる。
そうしてたくさんの葉を付け
盛んに光合成をしている。
つるは左手親指巻きのようである。
これらの太い木には
他のつる草も這い上がる。
ヤマノイモ・テイカカズラ・ツタウルシなど。


そうして 2年目の春 になった。

あんなにたくさん開花したのだから、
果実もたくさん生っているだろうと思うが、殆ど見つけられない。
そして今年もまた花の季節を迎えていた。

お目当ての果実を確認できたのは6月になってからだった。
小さな果実があちこちに生っていた。

その8

2年目  6月
小さな可愛い果実。
1つの花序にはたくさん花が咲いたのに、
果実はたった1つだけ。

2年目  6月

1個の果実の大きさは
2〜5cmくらいだった。
2年目  6月

果実の肌はつやがありつるつる。
果実の大きさはいろいろ。


これらの小さな果実のそばでは、今年の花がたくさん咲いていた。

その9

2年目  8月

果実が大きくなり葉っぱの間から見えるようになった。
今までの果実の成長ぶりに比べたら、急激に大きくなったような気がする。
しかし、詳しいデータを取っているわけではないので、断言は避けたい。


2年目  8月
果実の大きさはほぼ葉の
長さくらいになった。
2年目  8月
果実の大きさは8〜10cm
くらいだろうか。
2年目  8月
葉っぱのかげでよく見えない。
でもゆっくりと見て歩くと、
4個も並んで見えた。
これらはたくさんのつるが絡んでいるので、
1つの花序に実ったとは考えられない。

つる同士が絡み合い、たくさんの葉っぱに囲まれている果実。
目が慣れてくると
見つけることができる。
○で囲ったところに
果実が隠れている。
果実の数を数えることは
とても無理である。



その10

2年目  10月
果実が大きくなった。12〜14cmくらい。
果実の表面に縦に皺が見える。つやもなくなっていた。


その11

2年目  11月
果実が割れていた。
種髪も飛び始めている。
2年目  11月
果実は縦に1箇所が割れるようだ。

果実から出るとき種髪の毛が開くようだ。
いきなり飛んで行かずにぶら下がっている
ものがあった。
2年目  11月
近くには どこから来たのか
種髪が落ちていた。


2年目  11月
割れた果実を見ると、
意外に果皮が厚いように思った。
2年目  11月
割れ口があちらを向いているが
種髪が見えるので、見つけることが
できた。
2年目  11月
葉の陰やつるの隙間などに
隠れているので、見つけにくいが
割れると種髪が見えるので
分かりやすい。


2年目  11月
どこから飛んできたのか
葉っぱの上に。
2年目  11月
これもさらに風で飛ばされる
ことだろう。

果実がわれ、種子が種髪を付けて飛んでいく。
それは12月あたりまでで、地面に落ちた種髪の残りは1月ごろでもわずかに見られる。

花のつぼみが出てきてから約1年10ヶ月間のドラマはこうして幕を閉じた。


四国遍路道で見たキジョランの種髪
キジョラン Marsdenia tomentosa はガガイモ科の植物で、常緑照葉樹林に生える。
分布は関東以西〜琉球〜朝鮮南部。

四国の遍路道にはスダジイ・コジイ・アラカシ・ウバメガシなどの見事な照葉樹林がある。
当然キジョランにお目にかかることがあるだろうと山道を歩くのだが期待したほど会わなかった。

高知県の室戸岬に24番札所最御崎寺(ほつみさきじ)がある。
この寺は鬱蒼とした照葉樹林の森の中に立つ。
山道を登って行く途中で白い小さなものがふわぁっと飛んできた。
なんとそれはキジョランの種髪だった。
早速あたりを見渡したが見つからない。
やはり「鬼女」なんだ。姿は見せず。
たった1個の種髪というのが心憎い。

全く同じことが高知県26番札所金剛頂寺の裏山でもあった。


これら2つのキジョランは山の奥の方に生えているので山道からは見えなかったのかも知れない。


ある山の中で見つけたキジョラン

深い谷の中腹に山道がある。
その道から谷を覗いたら高さ5〜6mくらいの木が枯れて立っている。
その木にクズ・ツヅラフジ・キジョランなどが
絡んでいるのが見えた。
目を皿のようにして見ると、小さな果実がぶら下がっているのが見えた。大きさは5〜6cm。


その後再び訪れたがその果実はどうしたのか見られなかった。
完熟することができずに落ちてしまったのだろうか。




キジョラン………その芽生


工事中 しばらくお待ちください。







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