植物観察旅行記  釧路湿原の魅力 韓国:日本に似た植物

釧路湿原の魅力

追記 2008.10.05

 第2日 2005.7.4 

今日は釧路湿原のまわりを観察しながらバスでぐるっと一周し、その途中の遊歩道を歩いて観察する予定。
遊歩道ではヒグマが出ないことを願いながら。

きょうは釧路湿原を
1周する
釧路湿原概念図


バスはまた道道53号線を北上して先ず「温根内ビジターセンター」に着く。

ここにも遊歩道がある。今日はまだ「熊出没」の情報はない。良かった。
湿原の中の約3kmの木道のまわりは低層湿原・中間湿原・高層湿原があり、さらに湿原のまわりの林のそばも歩くことができる。
私の好きな期待の膨らむコースだ。

入り口の表示
約3kmのコースを歩く 湿原のまわりの道も歩く
アキタブキがたくさんあった

このコースで見た植物は次のようなものであった。
ハルニレ(実)・ミズナラ・エゾヤマザクラ・カシワ・ケヤマハンノキ・カラコギカエデ(花)
・マユミ(蕾)・ドクゼリ・ヤナギトラノオ(花)・ヒメカイウ(花)・エンコウソウ・ヤチハンノキ
・ヤマドリゼンマイ(胞子葉も)・ナガバツメクサ(花)・ハナタネツケバナ(花)・ミツガシワ(実)
・サギスゲ(綿毛)・クロバナロウゲ(花)・タヌキモ・クロミノウグイスカグラ(ハスカップ)(実)
・ミズゴケ・ツルコケモモ(花)・イソツツジ(花)・コツマトリソウ(花)・トキソウ(花)
・ホロムイツツジ(実)・ヒメシャクナゲ・サワシバ(実)・アキタブキ・ミヤママタタビ(花)
・エゾノカワヂシャ(花)・カラマツソウ(花)。ミヤママタタビ・ヤマブキショウマ
・オオニワゼキショウ(実)・エゾノリュウキンカ・カキツバタ(花)・サギスゲ(実)

カキツバタ(アヤメ科)
 カキツバタの群落
ヤナギトラノオ
(サクラソウ科)

サギスゲ(実)
(カヤツリグサ科)
サギスゲの群落
クロバナロウゲ
(バラ科)

クロミノウグイスカグラ
(実)(スイカズラ科)
ハスカップとも言う
タヌキモ(タヌキモ科)




ハナタネツケバナ          絶滅危惧種

今回私はここで、「ハナタネツケバナ」をじっくり見てよい写真を撮るのを楽しみにしていた。
結論を先に言うなら、あまり満足できなかった。
それは観察会つまり団体行動であること、撮った写真が良くなかったこと。
重いのがいやで、一眼レフを持たずデジカメの軽いのを持っていったためかもしれない。カメラのせいにするのはおかしいかな?

ハナタネツケバナとは、アブラナ科、湿原のスゲなどの中に一緒に生えている。
高さは周りの草の高さにもよるが、高いものでは50cmくらいはあるだろう。
細くて弱々しい体つきで、まわりの草に支えられて立っているような姿である。
花弁は4枚でおしべははっきり見えないが多分6本だと思う。
花弁の色は今年は白に近い薄いピンクだが一昨年はもう少し赤みがあった。
果実の様子から考えて、今年はもう咲き終わりの時期なのだろうと思った。

ハナタネツケバナ
湿原のスゲなどと一緒に生えている
細くて弱々しい体、
周りの草に支えられて立っている。

まわりの大きな葉は
ミツガシワ
もう花は咲き上がって、下の方には果実が付いている


すでに果実になっているものがあり、長角果でぴんと斜上しているがあまり細いので中に種子が入っているのかどうか気になってしまう。
葉は細い小さな葉(茎葉)が茎についている。
下のほうの葉(根生葉)はどうなっているか草を掻き分けて見たがどれがそれにあたるのかよく分からない。
1本引き抜けば簡単だがとんでもないこと!!さすがにそれはできなかった。
何となくそれらしい葉が下の方に見えたので、それではないかと思うことにした。

果実は長角果で斜上する
葉が見える



この「ハナタネツケバナ」は、寒地性の植物で、サハリン以北に分布の中心を持ち、シベリアなどの北の湿地に自生していたものが氷河期に南下して分布を広げ、
その後も生き延びたいわゆる「氷河期の遺存植物」であり、希少価値の高いものである。

一昨年、コッタロ湿原のところにあった立て看板に
「コッタロ湿原にハナタネツケバナが生えている。」という記事が書いてあった。

また霧多布湿原でも確認がされたようで
「この花を見つけたとき『まさか』という思いだった。それまで道内でも4例しか報告されていないきわめて希少な花だ。」(2000 伊東俊和 花の湿原霧多布 北海道新聞社)

それくらいに珍しい花であるから、私が調べようにも資料がない。花の近くの立看板くらいの資料である。

以上がハナタネツケバナの記述





釧路湿原の「氷河期の遺存植物」にはミツガシワもあるが、これはそれほど希少価値はなく、
本州でも高地で見られる。

この釧路湿原はその殆どが低層湿原であり、あらゆるところでヨシやスゲ類が生え、
湿原の上を水が流れている様子も見られる。

ミツガシワ・エンコウソウ・ヒメカイウ・エゾノリュウキンカなども浅い流れの中に生えていた。

ミツガシワの葉と実
(リンドウ科)
ヒメカイウの葉と花
(サトイモ科)


湿原は大部分が低層湿原(一説には90%)ではあるが、中間湿原や高層湿原と思われる部分も現れる。
どこからどこまでがそれなのかははっきりしないが植生などから判断する。

途中で明らかに高層湿原であろうというところがあった。
全体の様子から尾瀬の高層湿原を思い起こさせる光景だ。
そこではミズゴケが生えツルコケモモ・ヒメシャクナゲ・ガンコウラン・ヤマドリゼンマイ・トキソウなどおなじみの
高山植物が生えている。このあたりの標高は9m位だそうだ。
イソツツジ・ホロムイツツジなどの北海道らしい花も生えていた。

今思えば これらの写真を撮ってくればよかった。
他のところでよく見ているものだから撮る気持ちにならなかった。
それがいけない。これからはどんなものでも写真に収めておこう、と思う。

この遊歩道での観察の途中からタンチョウの鳴き声がしてきた。
しばらくそれが続いていたがやがて本物が美しい姿を現した。
先ず湿原の向こうの方から1羽が低い高さで飛んできて、草原の向こう側に下り立った。
しばらくすると反対側のこちらからまた1羽が優雅に大きくゆっくりと羽ばたきながら、低く飛んできて
私たちのすぐ近くの草原に下り立った。
2羽のタンチョウはお互いに近づくように歩き始めたが、こちらの方のタンチョウの方が歩きは速い。   
やがて2羽が近づくと、どちらも互いに着かず離れずの距離でお互いの周りを歩き出した。
と思ったら2羽が距離を離したままこちらに近いところへ悠然と羽ばたきながら飛んで行き、
低木の向こう側の湿原の方に下りた。

このドラマの筋書きは、講師の先生も分からないとのこと。
2羽は雌と雄なのか、つがいなのか?
まだつがいになっていない2羽が運良く結ばれたのか?
自分の縄張りに入ってきたので追いかけたのか?どちらがどちらを追いかけたのか?
でも「こんな近くでこのような場面に会ったことはなかった」ということで、幸せ!!
「このことだけでも釧路湿原に来た価値がある」ともおっしゃっていた。

私達は木道の上でこのドラマを初めから終わりまで時間をかけてゆっくり見学した。
観察予定の時間が不足することも心配しながら。

私はこの立ち止まって見ていた場所が「ハナタネツケバナ」のところだったら
「タンチョウとハナタネツケバナの両方を見られたのに」という不謹慎な思いもあった。


温根内での観察の後はこれも私の期待していたところへ。
53号線をまた北上して、鶴居村の手前で道は右方向へ。

いよいよ釧路湿原の北部を東へ向かう。
やがて道は釧路湿原を横断できる唯一の車の道(砂利道で土ぼこりだらけの道。道道クチョロ原野塘路線)に入った。


ここには道の横に「コッタロ湿原」が広がっている。
釧路湿原の一部分で、国立公園の中であるが、湿原の原風景ということで「最重要低層湿地」とされ、
厳重に守られ、許可が無ければ立ち入ることはできないそうだ。

その湿原の姿を道沿いにある小高い山の上の「コッタロ展望台」から見下ろすことができる。

広い広い釧路湿原、
スゲ類の他に小高い丘や樹木も見える
けもの道もたくさん見える

池塘や蛇行している川が見える 遠くに河畔林が見える。


この低層湿原にはどんな植物が生えているのだろうか。
展望台からは遠くて分からない。ただスゲの仲間が沢山生えていたり、湿原には蛇行している川もあり、池塘もある。
シカなどのけもの道もはっきり見える。
河畔林があり、エゾノコリンゴ・ヤチダモ・ハルニレなどが生えている。
昔は釧路湿原はどこもこんな風景だったのだろう。

この湿原に一昨年来た時見た説明文には「氷河期の遺存植物としてハナタネツケバナが生えている」
と書いてあった。
今年はその説明文を見落としてしまったが、
今年も多分ハナタネツケバナが薄桃色の花を咲かせていることだろう。


またこの湿原ではタンチョウが子育てをしていて子供と一緒に歩いている姿が見られたが、
今年は見つけられなかった。


やがてコッタロ湿原を過ぎ、ほこりだらけの砂利道をバスに揺られて進む。
道の両側が湿原であるから左側の様子と右側の様子は続いているわけだ。

ここではカラフトイバラ(花)・ヤマブキショウマ(花)・カワラマツバ(花)などの花が見られた。


カラフトイバラ


カラフトイバラは、私は今回ぜひ見たい花であった。
バスから下りて観察することができた。少し土ぼこりをかぶってはいたが、きれいにたくさん咲いていた。

カラフトイバラ カラフトイバラ


「ハマナスに近い種類だ」と講師が言ったが、確かに見た目には良く似ているし香りも同じように強い。
花の大きさはあまり変わらないが、ただハマナスのように豪華には見えない。
(どちらかと言えば北アルプスで見たタカネバラやオオタカネバラに似ているように思えた。)



ハマナスに比べ花の色が薄く、葉の厚みも薄くつやがないが小葉の数は両者とも変わらない。
木の高さはハマナスより少し高いがせいぜい2m以下。
今は花が咲いているが
秋にはどんな色の果実が見られるのだろう?


2008年8月25日

カラフトイバラの果実に出会う          追記 2008.10.5

北海道の温泉の1つ「川湯温泉」に泊まった。2008年8月25日のことだった。
朝の散歩に行くと、旅館の従業員宿舎の前庭に無造作に植えられているバラが真っ赤な実をつけている。

近づくと、何とそれはカラフトイバラの果実であった。
こんなところで出会うとは!
もちろん植栽されたものではあるが、以前から見たいと思っていただけに、心が弾んだ。


たわわに稔ったカラフトイバラの果実。偽果でなければ採って食べたいところだ。


つやがあり光っている。
それにしてもずいぶんと萼が長い。
バラの果実らしく偽果であることを
強調しているようだ。


こんなに近くで、しかも株の周りを歩けるので、ついでに、木の観察も。
株立ちらしく地際からたくさんの茎が立っている。
古いものほど樹皮の色が濃い。
茶色のものは2年くらい前のものだろうか。
新しい茎ほど、とげが大きい。触るとすごく痛い。
カラフトイバラがこんなにとげだらけのバラとは!

株立ちらしく地際から茎がたくさん出ている。 たくさんのとげ。若い茎ほどとげが多くて大きい。



2005.7.4


一昨年前に来たときはコッタロ湿原の近くでもたくさん咲いていたのだが、今年はどうなのだろう。
バスに揺られていて気がつかなかった。
このカラフトイバラはバラ属ハマナシ節に属し、ハマナス・シロバナハマナス・タカネバラ・オオタカネバラなどと
同じ仲間であるが、
日本では北海道と長野県、群馬県に隔離分布しているらしい。
もともと寒い地方の植物で、朝鮮半島北部やサハリンに分布しているそうだが私はここでしか見ていない。

ハマナスが海岸に、カラフトイバラが釧路湿原内にと住み分けている。


以上がカラフトイバラの記述




その他にカキツバタの大きな群落があって今花盛りだった。
ここは釧路湿原の中でもカキツバタの多いところだそうだ。

この湿原横断道路は塘路湖(トウロコ)の近くで終わりになり、国道391号線に出る。
つまりこれからは釧路湿原の東側を南下することになる。

釧路湿原には「シラルトロ沼」「塘路(トウロ)湖」「達古武(タッコブ)沼」の3つの大きい湖沼がある。
これらは皆、釧路湿原の東側にある。
今日見てきた西側には大きな湖沼はなかった。
ということは、釧路湿原は西側が高く、東側が低いということだ。
その湿原全体にたくさんの小川が縦横無尽に流れている。


たくさんの川が北東から南東方向に流れている。湿原の東側に3つの大きな湖沼や無数の小さな沼が散在する。



塘路湖の近くの小高い山に「サルルン展望台」があり、そこに登っていった。
この展望台からは、塘路湖・サルルン沼・ポン沼・エオルト沼・マクントウが眼下に見えた。
これらの小さな沼はだんだん乾燥化が進んでいるようだ。



展望台からはたくさんの湖沼が見えた


途中で見た植物はオオカサモチ(花)・オオハナウド(花)
・エゾオオヤマハコベ(花、私はシベリアでもこれに近い花を見た。)
・タガネソウ・バイケイソウ(エゾ?)の群落(実)・ダケカンバ・ヨブスマソウ・ハシドイ(蕾)。



オオカサモチ
(セリ科)

エゾオオヤマハコベ
(ナデシコ科)


次にバスは国道391号線を南下し達古武沼(タッコブヌマ)へ。沼の縁にある自転車道を歩き観察した。
ここでもたくさんの花を見た。
エゾスカシユリ(花)・ミヤママタタビ(花)・シコタンキンポウゲ(花)・ノコギリソウ(セイヨウ?)(花)
・ヤナギラン(蕾)・ヒオウギアヤメ(花)・クサフジ(花)・イヌエンジュ・ノリウツギ(蕾)・
エゾオオヤマハコベ(花)・カラフトホソバハコベ(花)・ダイコンソウの仲間(花)・マンテマの仲間(花)など。
沼の中ではネムロコウホネとエゾノミズタデがどちらも葉を水面に浮かべてしかもたくさん花を咲かせていた。

エゾスカシユリ
(ユリ科)

エゾオオヤマハコベ
(ナデシコ科)

カラフトホソバハコベ
(ナデシコ科)

シコタンキンポウゲ
葉と花
(キンポウゲ科)




私は前回の観察会で、ここから達古武沼のまわりをまわってキャンプ場に行く木道のコースが
素晴らしかったので、今回も大きな期待をしていた。
特にここではいろいろなヤチボウズが見られたからである。

ヤチボウズというのは、夏にスゲなどが生え冬に枯れる。
その枯れたスゲが寒さのために腐ることなくだらーんと地面に横たわる。
翌年枯れたスゲの株の真ん中に新しいスゲが延びてくるが古いスゲは枯れたまま残っている。
そのことが何年も繰り返されるとスゲの株は大きくなり地面より盛り上がった形になる。
それがヤチボウズである。


今年は見られなかったが、志賀高原で見たものの写真が出てきた。

志賀高原のヤチボウズ
(03.7.13)

釧路ではこの緑色の中に花やシダが生えていた



ヤチボウズを私が始めてみたのは、根室半島だが時は冬で、ヤチボウズが群生していた。
丸く盛り上がったところに枯れた草がだらーんと垂れている。
薄暗い林の中でわずかな雪の中にそれら何十何百と続いていた。
その様子はまるで、戦国時代の戦の後の「人のさらし首」が並べられているのではないかと思うような
光景で、恐ろしくふるえを感じた。それ以来ヤチボウズは怖いものとしての印象しかなかった。

ところが、このコースで見てからヤチボウズの印象が変わった。
ここでは湿地の中に水が流れていて、その水流で地面をけずって行くが
ヤチボウズの部分は流れずに残っている。
そのようなことが何年も繰り返され、坊主頭だけが水面の上にある。
そこへ花の種子やシダの胞子が飛んできたのだろう。
頭の上に、あるものはスゲをかぶり、あるものは赤や黄色の綺麗な小花をつけ、
またあるものはシダ(ヤマドリゼンマイ)を乗せていた。
だらりと垂れた茶髪の頭にまるで大きなリボンでも付けている様で、怖くはなく、
むしろ自然の造形の巧みさを感じた。
大きさもいろいろで、大きいものは直径50cmくらいあった。

今回もこれが見られる。今度はリボンの花が何か、色や形はどうか、しっかり見たいと思っていた。
ところが!!! 木道が壊れているそうで、通行禁止になっていた。残念この上なし!!

第2日目 終了。


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