釧路湿原の魅力

釧路湿原の魅力

 第3日 2005.7.5

朝から雨。この日の予定は釧路川をカヌーで下ったり、湿原の中をJR(ノロッコ号)に乗ったりと、
私にとってはいわば「おまけ」の日であった。
それでも、いくつか植物を観察することができた。

カヌーは塘路湖から出発した。

やがて水草が見えてきた。
ネムロコウホネ(スイレン科)とエゾノミズタデ(タデ科)、抽水植物である。

どちらも葉を水面に浮かべていて、どちらも水面より上に花が咲いているが根は土の中にある。
この2つの違いは水の深さだそうだ。
ネムロコウホネは50cmくらいだがエゾノミズタデは2mくらいでも生きているという。

この深さの違いに関して、昨日、達古武沼で見たときネムロコウホネは岸に近いところに生えていたので
単生花の少し大きい花であるからその様子が少しは観察できたのに、
エゾノミズタデは岸から遠いところに生えていたので花が咲いているらしいことがやっと分かるくらいだった。

そのため観察できなかったが今日もカヌーは水草の無いところを通るので、遠くてよく分からない。
ネムロコウホネは花が大きいがエゾノミズタデは花が小さいし遠い方なのでよけいに分からない。
でもエゾノミズタデの花が穂状花序で水面より上にまっすぐに突き出て開くということは観察できた。


カヌーはやがて釧路川に入りゆっくりと下った。ダムもなければ滝もない。人口の堤防もない川だ。


釧路川をカヌーで下る。
樹木が自然の堤防だ

スゲ類が堤防の役目を果たす

この状態を私はヤチベットと名づけた


ここで「ヤチベッド」を見た。ヤチベッドとは私がつけた名前だ。
高さ1m近くありそうなスゲが、前の年の枯れた草の上に生えている。それが連続してくっついている。
これらが少しずつ離れていれば「ヤチボウズ」のはず。
連続しているから「ヤチベッド」ということにしたのだ。

そのヤチベッドの根元には、湿原をつくっている泥炭が川の水面の高さの上全体を覆っていた。
その高さは1mくらいだろうか。おそらくこの泥炭は下の方に深くつながっているはずだ。4mくらいあるという。


尾瀬の湿原では泥炭が積もるのは1年間に1mmであるそうだ。
ということは、今この見えている部分でさえ湿原ができるのに1000年もかかっていることになる。
見えていない下の方までの深さを考えると釧路湿原は4000年の歴史があるということだ。

ゆったりと下るカヌーの中で、ゆっくりとしかも確実に湿原を創ってきた大自然の営みに畏敬の念を抱いていた。

黒褐色のミンクが川を泳ぎあわてて草むらに逃げ込んだ。
オジロワシの幼鳥が木に止まったまま全く動かなかったがカヌーが近づくと悠然とどこかに飛んで行った。


オジロワシの幼鳥が
枯れ木に止まっていたが近づくと悠然と飛び立った

自然の堤防の木
ヤナギの仲間

ミンクが泳いでいたが近づくとこのスゲの中に逃げ込んだ



川岸には自然の堤防のように木が水面にまで垂れるように生えている。
樹種はヤナギの仲間が大部分であるが、種数がせいぜい2〜3種くらいだった。

イヌコリヤナギに似たようなヤナギは高さが2〜3mで枝の先の葉は薄い赤で雌木からは柳じょが飛んでいた。
あとは葉が細く木の高さは4〜5mあったが花はなかった。
「エゾノカワヤナギということにしておこう」なんて、一人で考えていた。
川岸から2〜3m離れたところには、ハルニレやヤチダモの大木がところどころで見ることができたくらいで、
種類は多くないように思った。

カヌーは細岡で下り、「細岡展望台」へ。
前回は晴れていて視界が良く遠くの方までみることができた。
ここ細岡は釧路湿原の東側なので、ここからは湿原の西の部分や南の部分が良く見えた。


山道を登って行くと展望台がある

湿原の西や南が見えた


今日は朝から雨、おそらく何も見えないだろう。
雨の中の山道を展望台まで登って行くのはきつかったので、ビジターセンターで暖かい飲み物で、
冷えた体を温めた。

体が温まった頃、集合時間になり雨の中傘をさしてバスに戻った。
それが悪かった!!! 
後になって分かったことだが、このビジターセンターの前の花壇に「クシロハナシノブ」が植えられていて今が花盛りだったらしい。
この花を自生で見ることは容易なことではないので諦めていた。
それが花壇に植えられていたそうだ。
自生とは違いおそらく立派に見えるのだろうが、それでもこの花を見たかった。
「でも雨の中だから綺麗ではないだろう」などと負け惜しみを言っては見たが、とにかく残念だった。



午後は時速30kmのノロッコ号にゆっくり揺られて釧路湿原を南下し、釧路駅に着いた。


塘路駅
ノロッコ号の始発駅

ノロッコ号
終点は釧路駅



今日・昨日・一昨日と釧路湿原を四方向から見てきた。
しかし私が見たのは広い釧路湿原の一部を線で回り、遊歩道を点で歩いたに過ぎない。

いくつもの感動を与えてくれた「釧路湿原の魅力」という題の旅は終わった。
まだまだ尽きない魅力を持つこの湿原のまだ歩いていないところをこれからも季節を変えて歩いてみたい。
そして私のぜひ見たい花「クシロハナシノブ」の自生にも出会いたい。



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