花を訪ねて  葦毛湿原を歩く


2006/10/23


「葦毛湿原のシラタマホシクサが見たい」10年以上も前から思っていた。

シラタマホシクサはホシクサ科ホシクサ属の植物で、高さ20〜40cmくらいの細い花茎の先に直径5〜6mmの真っ白い玉のような頭花をつけることからその名がついた。
その頭花が湿原に群生する様子は、白く煙って幽玄の世界を見るようだという。
しかも本州の伊勢湾の北部に面する地方にだけ分布しているという特別な植物で
「周伊勢湾要素の植物」の1つであるという。

それがやっと実現した。
第1回目は2002年9月8日で、満開のシラタマホシクサを見て感激した。


あまり広くは無い葦毛湿原にたくさんのシラタマホシクサが一面に咲いている。
今ちょうど満開であった。
「白く煙るような」という表現通りの様子を見た途端に感動し、とりあえず木道を夢中で歩いた。
湿原は狭いのですぐに1周できる。
この日は日曜日であり人出が多く狭い木道に立ち止まってゆっくり見ているわけにはいかない。
そこで、湿原の中を何度もぐるぐる回って見ることにした。

この日はたくさんの花に会えてとても良かったけれど、
肝心のシラタマホシクサについて、くわしく調べることができなかったのは残念だった。
天然記念物の葦毛湿原で、木道に寝そべってルーペで見るわけにいかず、
ましてやちょっとつまんでということは絶対にできない。

消化不良のまま止むを得ず帰路についた。


その後しばらくして、我が家の近くの園芸店でシラタマホシクサの鉢植えが売られていた。


聞いてみると「園芸品ではない。自生のものと同じだ」とのこと。
早速買ってきて観察をはじめた。
近所の家でも何軒かが買ってきたようで玄関前に飾られていた。

その花を観察して次のようなことが分かった。
ただしサイズは鉢植えのものであるから自生のものとはわずかに違うかもしれない。

◆葉は根元から出て、線形で細く長さは15cm前後である。


葉は線形


◆根元から花茎が出るが鞘に包まれている。鞘は茶色で5〜6cmの長さ。


◆花茎は細く長くねじれている。長さは10〜23cmくらい。


花茎は捻じれる


◆植木鉢の中に何株が入っているか調べたら5株だった。


◆5株の中で一番たくさん花茎を出している株は9本であった。


◆細く長くねじれている花茎の先に頭花を1個つける。
頭花の直径は7〜8mmくらいであるから、花茎の細さに比べると非常に大きい。
この頭花の重さが原因で、湿原で風が吹いたりするとゆらゆらとゆれてそれが「白い煙るような」雰囲気になるのだろうか。


◆頭花は白い毛に覆われているがルーペで見てもはっきりと形が分からない。
たくさんの花が集まっているのでばらばらにして数えたがはっきりせず、だいたいのところで65個くらいである。
これらには雌花と雄花があるらしいがルーペでは確認ができなかった。


◆頭花にはそれを支える総包がある。
頭花をさわっていたら白い玉の部分だけが落ちてしまった。あとには、枯れた総包だけが花茎にしっかりと付いていた。


◆種子をとりたい。
1頭花をばらばらにして指でこすり、硬いものに当たったらまわりの白い毛をはずしてみた。
すると小さな種子が出てきた。
1個の大きさは1mmくらいで、それが3個ずつくっついてまとまっているようだ。
もちろん1個だけのもの、2個だけのものもあった。
ということは、原則として1個の雌花に3個の種子ができたのだろうと思ってみたがどうなのだろうか。
1頭花から取り出せた種子は1個のもの2つ・2個のもの4つ・3個のもの4つで種子は合計22個であった。


やがて10月も半ばになると、我が家のシラタマホシクサは枯れてきた。
近所の家の玄関前のものも同じように枯れていた。

緑の葉と白い玉の頭花を見て楽しんだ期間はあまりにも短かった。

シラタマホシクサは1年草であるから枯れたら終わりである。
しかし枯れた後はドライフラワーとなり美しい姿はそのまま残って今でも目を楽しませてくれている。

その後友人からクロホシクサをいただいた。


シラタマホシクサとクロホシクサ


今ではやや黒色があせてはいるが、白黒2種のホシクサ属のドライフラワーを小さな花びんにさして楽しんでいる。


さらに最近、近くの田んぼで採ったイトイヌノヒゲも加わり3種になった。

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