四国遍路道の植物   A:高知県足摺岬白皇山


Mitrastemon yamamotoi Makino

2008/03/31


四国の遍路道を歩いていると関東では見ることのできない植物に出会い嬉しくなる。「ヤッコソウ」もその1つである。

ヤッコソウとはスダジイやごくまれにツブラジイの古木の根に寄生する草本植物で、全寄生の葉緑素を持たない5~6cmの小さなものである。
その形が大名行列の奴の形に似ているということからヤッコソウの名前が付けられた。


私が始めてヤッコソウの実物を見たのは1999年3月の末、四国霊場第26番札所金剛頂寺の境内だった。
前年の秋に咲いたものがすっかり枯れて倒れて雨水に流されているものがたくさんあり、それをいくつか持ち帰った。

26番札所 金剛頂寺(高知県)  前年の秋に咲いたものが、
枯れて、雨水に流されていたもの

前年の秋に出たものが枯れて、倒れて、雨水に流されていたものがたくさんあった。


家でそれを見るたびに開花中のヤッコソウを見たいと思うようになった。



日本産のヤッコソウは徳島県・高知県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県だけに生えているが、わざわざ九州や沖縄まで見に行くのはたいへんなことだ。
そこで四国遍路の途中でヤッコソウを見に行くことにした。
私達「めおと歩き遍路」は都合のつく時に出かけるわけだから、ヤッコソウの開花に合わせて出かければ見ることができるだろう。
そこで四国のヤッコソウの自生地を調べてみると、足摺岬と室戸岬近辺に集中していることが分かった。

その中で次の5箇所を選び開花の時期に行くことにした。

A:高知県 足摺岬 白皇山
B:徳島県 海部町 妙見公園
C:徳島県 宍喰町 鈴ヶ峯
D:高知県 室戸市 最御崎寺境内
E:高知県 室戸市 金剛頂寺境内 

     



ここでヤッコソウについて概観してみよう。

ヤッコソウは雄性期と雌性期があるが、次の模式図は雌性期のものとして書いてみた。

上記の他 次の模式図も見ればヤッコソウの概念はつかめると思う。

雄性期のヤッコソウ
葯帯の部分が雄蕊の葯にあたる。
花糸は合着している。
鱗片葉は花茎にくっついていて
対生につく。
「雄ずい筒」と呼ばれている部分。
雄蕊のことである。
葯帯の部分は黄色、ややべとつく。
花糸の集まりは合着しているが、
落ちる時1か所だけ割れる。

この雄ずい筒が落ちる(ぬける)と
ヤッコソウは雌性期になる。
鱗片葉は十字対生する。
この模式図は5対。
上につくものほど大きい。
四国では上の2対に蜜がたまっていた。
四国では3対や4対が多かったが
南に行くほど鱗片葉が多くなるという。




この変わった生態のヤッコソウに初めて学名(Mitrastemon yamamotoi Makino)と和名(ヤッコソウ)を付けたのは牧野富太郎で、
それは足摺岬のヤッコソウであったという。(1909年、明治42年)
山本一が生徒を連れて足摺岬方面に植物採集に出かけた時「土佐清水市の加久見天満宮」の境内でこれを見つけ、
その標本がやがて牧野富太郎に渡り、名前が付けられたという。
種小名の「yamamotoi」は山本への献名であるということだ。

ところが、その後、ヤッコソウを始めて見つけたのは山本ではないことがわかった。
そのことについてのエピソードは別なところで述べたい。



以上、ヤッコソウを概観してきた。
この後は5ヶ所での観察記録をもとに、詳しく見ていくことにする。




(クリックしてください)
A:高知県 足摺岬 白皇山
B:徳島県 海部町 妙見公園(工事中)
C:徳島県 宍喰町 鈴ヶ峯(工事中)
D:高知県 室戸市 最御崎寺境内(工事中)
E:高知県 室戸市 金剛頂寺境内 (工事中)



     四国遍路道の植物