ミニ観察


2006/08/20

追記 2006/11/23

ヤマトグサを見たいと思った。
ある日、ふとしたことから このヤマトグサを 観察することができた。

短期間の観察であるから、これは 「ミニミニ観察記録」である。
従って気が付かないことがあるかも知れない。
すべての観察が終わったわけではないがここまで観察したことをまとめてみた。
    

ヤマトグサはヤマトグサ科ヤマトグサ属の植物。
山の中の落ち葉が積もっているような湿ったところに生える小さなもので花も小さくて目立たない。
茎が横に這って行くので、全体の草姿はまとまりがない。


なぜ有名なのかというと、
植物には学名というラテン語で表す世界共通の名前がある。
その学名は、昔は日本人がつけたことがなかった。
それを明治時代、牧野富太郎と大久保三郎が日本人として始めてこのヤマトグサに「学名」をつけたのだった。
だから日本にとっては記念すべき植物なのである。
その学名は Theligonum japonicum Okubo et Makino

この学名はどんな意味なのか調べたら
古代ギリシャ語で「女の膝」というそうだ(大井次三郎著 標準原色図鑑全集 保育社)が
私には何のことだか分からない。

ちょうど花が咲いている時期だったので、まず花の観察をした。
花には雄花と雌花があった。つまり雌雄同株。
特に目立ったのは、雄花であった。雌花は小さくて目立たない。



そこでまず 雄花から観察した。とにかく変わった形をしている。他にこのような形の花があるのだろうか?

花(つぼみ)は葉と対生して付く。1つの節からは2個の雄花がついているものが多かった。
1つの節から葉と対生して2個の
雄花が出ている

開花間近い雄花のつぼみは大きく感じた。その長さを測ったら7mmあった。
そのつぼみには陵があって 角ばっている。

上から覗くと3〜5角形のような形だ。

花には花弁はない。がくと雄しべだけ。雄しべは合着したがくに包まれている。
この合着しているがくが割れた時が開花ということになる。
その割れ方は外側にくるくると巻く。その時には このがくが3つ・4つ・5つなどに分かれる。
そして 中から長い雄しべがたくさんぶら下がる。

その雄しべの長さを測ろうとしたがぶらぶらしていて 測れない。
枯れて落ちていた雄花があったので、その花で測った。
葯の長さは4mm、花糸は3mmだった。葯の本数は細かくて絡んでいて数えられなかった。
枯れて落ちていた雄花2個。雄しべが絡んでいた。
この葯の長さを測った。

この雄花は当然のことだが花粉を出す。
そこで花粉を色画用紙に落としたら白だった。
黒い画用紙ならもっとはっきりしたのにと後悔した。

(花粉の色は花によって違う。スギは黄色・ハンノキも黄色・カツラは薄い黄色だ。)

以上が 雄花の観察記録である。

次は雌花の観察。
とにかく小さくて初めのうちは分からなかった。
そのうち 目が慣れてきて やっと分かった。


雌花は葉腋に付いている。雄花は葉に対生して付いていたのに。
また雌花は 1個だけしか付いていなかった。雄花は2個付くのが殆どだったのに。
雌花も2個付くものがあるのかも知れないが今回は分からなかった。

とにかく小さい。 大きさは測れなかった。雌花を見つけるだけがやっとだった。

葉腋に1個付いている雌花には花弁はない。これが果実になるのだろう。
形は小判型というか楕円形で、元のほうは丸く膨らんでいるのが見える。
これは楕円形の中で子房が膨らんでいるのではないかと勝手に想像した。
楕円形のものは少し平べったいようで、つまり小判を膨らましたような形。その縁に短い白い毛が生えている。
膨らんでいるそばのところから 柱頭ではないかと思われる棒の形の1mmにも満たないようなものが生えていて、その先が割れている。はっきりしないがどうやら2つに分かれているようなのだ。


私の観察はすべてルーペで見える範囲の記録である。顕微鏡は使わない。
素人の私には この方がよいと決めている。
ルーペで分からないものは あきらめることにしている。
この 雌花は あきらめかけていたがなんとか見つけることができた。よかった。

ところで、雄花と雌花の付き方にどうやら決まりがあるようなのだ。
雄花は茎の上の方に付き雌花は下に付く。

この理由は風媒花なので雌花が下の方が花粉が受けやすいためだろう。

このようにしてこの後果実が実ったらどのようなことになるのだろうか?
まだまだ観察を続けなければいけない。

以上が現在までの雌花の観察記録である。

最後に茎や葉や根の観察。
下の写真は開花期の1株の様子、2〜3本が一緒になっている。一見するとハコベやハシカグサに似ている。


茎には少し白毛が生えている。
その毛の生え方はハコベのように1本すじ状に毛が並ぶというほどではないが、茎全体に生えているとも言えずはっきりしない。

花が咲き終わるころからこれらの茎の側枝がどんどん伸びて地面を這って行く。


開花時期には20〜25cmだったものが8月10日には長いものは55cmくらいまで伸びた。まだまだ伸びそうだ。
そして伸びた枝の節から発根する。
それらの伸びた枝に付く葉はみな対生であった。

側枝の長さ55cm
まだ伸びそうだ

葉は対生

葉は単葉で葉柄がある。


対生するが、上の方にいってつぼみが付くと互生になる。


それを 私は普通葉が包葉に変わったものと解釈している。
この現象はイヌノフグリの仲間にも見らる。


葉には托葉がある。1つの節に2枚見える。
葉が対生なのに托葉は2枚、ということは、「アカネ科の葉間托葉と同じ」なのだろうか?


葉の表と裏の顔は違う。
表は主脈が白く見えるが側脈はあまりはっきり見えない。緑が濃く一見肉厚のように見える。
それに対して裏は色が薄いけれど側脈までよく見える。でも裏の脈は主脈も側脈も途中まで凸形であとは凹型である。
毛は表のほうが多く、特にたくさん生えているのは葉の縁の部分である。

根の様子を調べたかった。
1株 そっと引き抜いた。ひげ根のようだが結構長い。2本の茎が一緒になっているようだ。
よく見ると芽生えて間もないものが混じっていた。
丸い小さなふたば。ふたばも胚軸も無毛だが本葉の付く茎と本葉には毛が生えている。



以上が私が見た「ヤマトグサ」の観察結果である。
観察不十分なところや、違っているところがあればご指導願いたい。

なお牧野博士がこのヤマトグサを発見したところは、高知県吾川村だそうだ。
吾川村と言えば、ノジギクやハガクレツリフネなどたくさんの植物が博士によって発見され命名されたことで知られている所である。
特にノジギクは、本来ならば海岸近くにあるものなのに、この山中で見つけたということで知られている。

この「吾川村」は牧野博士の生まれた佐川町に近く博士がよく歩かれたところだが、
現在は「仁淀川町」となっているようだ。


追記 2006/11/23


ヤマトグサの枝分かれした茎がまたまた伸びた。10月1日には85cmになった。
(開花時20〜25cm、8月10日55cm、10月1日85cm)
そろそろ伸びなくなってくるだろう。



    ミニ観察のTOPへ