ミニ観察

2010/01/01

とかくイチョウは話題性の多い植物である。
「斑入りイチョウ」「チチ」「チチのギンナン」「らっぱイチョウ」「お葉つきイチョウ」などなど、変わりものが多いので、話題は尽きない。

それらが、時には「天然記念物」としての「指定」を受け、
訪れる人が多くなり、「裸子植物としての古い植物」に感動や不思議さを覚えることになる。
私もその1人かもしれない。


その珍しいと言われるイチョウの中で、
1本の木に「斑入り・らっぱ・お葉付き」の3つがそろったイチョウは殆ど知られていないようだ。

そこで、私は半分物珍しさも手伝って、

「どうせ訪ねるなら、一度に珍しいものが多くある方がよい」とばかり、その寺を訪ねた。
「県の天然記念物に指定されているのだから、うまくいけば3つが一度に全部見られるかも知れない」と。
それは 2009年8月18日だった。


栃木県河内群上三川町にある「普門寺のイチョウ」がそれである。


栃木県指定文化財
指定名称「普門寺のお葉付き・ラッパ・斑入りイチョウ」
平成20年2月1日指定 天然記念物
所有・管理 普門寺


寺が近づくと、すぐそれと分かるような大きな立派なイチョウの木が見え始めた。

このイチョウの木の下で、1人で長い時間ゆっくりと気がすむまで観察した。
木から離れて見たり、樹の下から上を見たり、樹の下に落ちているものを見たり・・・

木の下に立って見上げると大きなギンナンがたくさん生っている。
住職の奥さんの話では樹齢は300年くらいだそうだ。
イチョウにとって、このくらいの年齢は壮年期なのだろうか。
大きなギンナンがたくさん生っている。

見上げると大きなギンナンが
たわわに実っている。

この中から
お葉付き・ラッパ・斑入りを探すのは
大変だ。



らっぱイチョウ


お寺の境内であり、きれいに掃かれているので、観察には良くなかったが
それでも木の下には、葉が落ちていた。
その中に小さくて可愛い「らっぱイチョウ」の葉が混じっていた。

木の下に葉が落ちている。

その中にらっぱイチョウが混じっていた。
小さくてかわいい。

長さを測ったら全部3cm前後だった。
今まで見てきたどこのらっぱイチョウよりも
小さかった。

その割には、葉柄が長いのが不思議だ。


これらの落ちていた「らっぱイチョウ」を拾ってよく見ると、
そのらっぱのでき方がみな違う。(他所で見る「らっぱイチョウ」もそうであるが)
あるものは、らっぱのヘリまで全部くっついている、
またあるものは、途中までくっついているが、
下の方が少し申し訳程度にくっついているもの、 などなど。


ところで、これらの「らっぱイチョウ」の葉は、どんなんところに、どんな状態で付いているのだろうか?

それを、短枝と長枝の両方についている様子を見ることができた。
短枝は木の下に落ちていものの中から見つけた。

短枝の場合 短枝の場合 長枝の場合
短枝から何枚かの葉が出ているが
その中に混じって「らっぱ」状の葉が出ていた。
完全な らっぱ状とは言えないが
下の方がくっついている。
葉柄が完全な形の葉より長い。
種子の付いている短枝にも「らっぱ」状の葉が
付いていた。
これも完全な「らっぱ」状ではないが、
葉柄は他の葉より長い。
上を見あげると、徒長枝が突き出ていた。
そこに「らっぱ」状の葉が付いていた。
矢印がそれ。



斑入りイチョウ

「斑入りイチョウ」と言えば、私は今まで緑色と白色の組み合わせを見ているので、
このお寺でも、緑と白の縞模様を想像していた。
芽生えの時の「斑入り」ではないだろうから、たぶん枝の一部についている葉に「斑入り」が見られると想像していた。

その斑入りの葉が、黄色と緑色の縞模様であるのに驚いた。
それも、長い時間上を向いて探し、いい加減首筋が痛くなるころこの「斑入り」が目に止まった。
うれしかった。
よく見ると、あの大きな木のほんの一つまみだけに「斑入り」が見られたのだ。
探すことをあきらめてしまったら絶対に見つけられなかったと思う。

改めて「斑入り」にもいろいろな状態のものがあることを実感させられた。

今までも、来年も、この「斑入りイチョウ」はこのように、ほんの一握りの葉だけが、黄色と緑の縞模様になるのだろうか?
ここは我が家から遠いところなので、継続観察ができないことが残念だ。

やっと見つけた「斑入り」の葉、わずか8枚。
あの大きな木に付いているものにしては貴重な存在だ。
横から見ると1本の短い短枝(矢印)に付いていた。
夢中で見つけたが、これ以外には見つけられなかった。



お葉付きイチョウ

これも期待していたが、どうしても見つけることは出来なかった。
住職の奥様の話では、「お葉付き」は毎年見られるわけではないという。
今年は、付かないのか、それとも、見に来た時期が早すぎたのか?




いずれにせよ、「よくばりイチョウ」の3つを一度に見ようとする私が「欲張りなのかも知れない」と思いながら
帰路に就いた。



そういえばこの「よくばりイチョウ」は、3つの変わった珍しい状態が見られるから
「天然記念物」としての指定を受けたのだ。
だったら、私が観察しているイチョウの大木は「斑入り・チチのギンナ・チチ」の3つが見られるから、
これも「天然記念物」になってもおかしくないのでは・・・でも「チチは珍しくないからなあ」などと思って
1人で苦笑している。



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