BOOK LAND 12



道路の権力



猪瀬 直樹

NAOKI INOSE

文藝春秋 ¥1600


<道路公団民営化の攻防1000日!>
かつてイタリアのフェデリコ・フェリーニという映画監督が、「現代のローマは高速道路にある」
と語った。ローマとは古代ローマのことで、退廃と荒廃の象徴だった。本書は道路関係
四公団の分割民営化の攻防1000日の歴史を正確無比に追跡した唯一の記録である。
なにしろ著者の猪瀬氏は、実際の中心人物だったのだから。

”道路はただの道路ではない。道路建設は巨大な資源の分配であり、どこに、いつ、
どれだけのコストをかけてつくるのか、それを決めるのが政治であり、権力の行使そのもの
だからだ。(本書より)”


<構造改革とは?>
”問題は郵貯はおよそ240兆円、簡保は120兆円、加えて年金が140兆円、これらが運用の
貸し出し先を求めて特殊法人に押し込まれていることなのだ。巨大な国営企業が民業を
圧迫しているのだ。郵政3事業は「入口」に位置し、「出口」に特殊法人や社団・財団等の
公益法人がいる。国家社会主義的な金融と肥大化した官業の解体、すなわち「入口」と
「出口」の一体的な解決、それこそが構造改革である。(本書より)”

<民営化委員会発足、七人の侍!>
遂に2002年6月、道路関係四公団民営化推進委員会が発足する。メンバーは以下のとうり。

●今井敬氏:日本経団連名誉会長
●中村英夫氏:武蔵工業大学教授
●松田昌士氏:JR東日本代表
●田中一昭氏:拓殖大学政経学部教授
●大宅映子氏:ジャーナリスト
●猪瀬直樹氏:作家(民営化委員会以前の行革断行評議会にも参加)
●川本裕子氏:マッキンゼー&カンパニー シニア・エクスパート

しかし、この七人の侍は最終答申を提出する直前で斬り合いを演じてしまう・・・・詳しくは
本書を読んで欲しい。


<官僚の正体>

”道路公団はかなり前に独走をはじめていたのだ。予算ならまだ国会の審議の対象だが、
国営企業の財務の実態は把握できなかった。藤井冶芳という化け物を誰がつくったのか。
ゴキブリと同じで一匹が見つかれば、同等同格の化け物は十匹ではすまない。
いまや きれた官僚機構は軋んだ音をたてながら つぎからつぎへ化け物を量産する
装置と化している。(本書より)”

国民の一人一人がストーカーのように”官僚機構”を監視していく必要があると思う。

"繰り返すが、「最後の「ジャンプ」の飛距離が出るかどうかだ。国交省は四公団を模様替えして
すませようとしているが、僕としては、道路公団を三分割したうえでいちばん西の会社に
本四公団を吸収させ全部で五分割、そして料金引き下げ-という線は最低限で、
譲れない」のだ。成功か、失敗か、ここを目安にしてほしい。(本書より)”

もはや族議員は死滅した?・・・これからは政治家と官僚の戦争が始まる。




by TETSUYA TSUKADA




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