ハートマークアニメ 知って安心!医療費Q&A  

このコーナーでは医療費に関する様々な疑問をとりあげます。マスコミでは毎日のように
医療費問題が報道されていますが、一面的な見方も見受けられ、また個々の患者さんに
とって必ずしも役に立つとはいえない記事も多いようです。
 ここでは実際に患者さんから寄せられた疑問・質問にお答えすることで、具体的な医療費
の知識を皆さんに提供いたします。
 医療機関では、お金に関することはなかなか聞きにくいもの。
(本当はそういった雰囲気は払拭されるべきですが)
皆さんが安心して医療を受けられるように、またより適切な医療が提供されるように・・・
このコーナーが少しでもお役に立てれば幸いです。
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Q&A 外来診療編


Q:高血圧で通院中。病院から、近くの医院にかわったら診察料が高くなった。
  どうしてですか?

A:病院と診療所・医院では保険制度で定められた診察料の診療報酬点数が異なります。
  この解釈は様々ですが、病院では外来の他に入院治療による収入があるため本来の
  点数より低く設定されているという見方もできます。この差は自己負担分で通常100円
  以下です。診療所ならではの利点もあり、単純な比較はなじむものではありません。


Q:会社の検診でひっかかり胃カメラを受けるよう指示された。費用はどのくらい?

A:胃・十二指腸ファイバースコピーの診療点数は検査薬やフィルム代を含めて
  1300点前後です。癌の疑い等で病理組織検査を行うと生検手技料300点、
  病理組織検査料900点、判断料130点等が加算され合計で2700点前後
  となります。1点10円ですから社会保険2割負担の場合、窓口での支払いは
  6000円前後となります。病理検査が高点数なのは病理専門の医師が診断
  を行うからです。


Q:かぜとかでかかり付けの医院に糖尿病で定期的に通院しだしたら高くなった。
  同じ診察だけでも違うのはおかしいのでは?

A:糖尿病や高血圧症等の慢性疾患では特定疾患療養指導料が月2回を限度に
  算定されるためです。医師の技術や知識に対する診療報酬の評価ですから、
  医師は患者さんの病態に即した計画的治療を行うことが算定の前提です。

 


Q:インフルエンザワクチンの接種は保険がきかないのですか?

A:ききません。従って自由診療となり、医療機関ごとに料金が違います。
  一回2000円から5000円位までかなりばらつきがあります。基本的に
  中身は同じですから、安いところを探すのが賢いかもしれません。
   なお平成11年度以降は何らかの公的補助の導入が検討中です。


Q:院外処方は割高で困ります。医療費増大の一因になりませんか?

A:確かに院内処方に比べ若干の負担増になります。しかし、それによって
  専門の薬剤師さんによる、きめこまかい薬歴管理や服薬指導が可能と
  なる利点があります。医師も院内の在庫等に気を煩わせることなく、
  患者さんに即した処方が出しやすくなります。医療費は減らすことも
  大事ですが、必要なところには充分に、そして無駄を省くという再分配
  が現代の医療情勢では必要ではないでしょうか。


Q:帯状疱疹で皮膚科にかかったら五日分の薬代で一万円以上かかりました。
  保険診療なのに高すぎるのでは?

A:帯状疱疹の治療薬としてアシクロビル(商品名ゾビラックス)が用いられます。
  この薬は効果も高いのですが大変高価で標準投与量で一日分5000円以上の
  薬価になります。したがって保険診療でも他の処方とあわせると五日分で
  一万円前後の自己負担となります(国民健康保険の3割負担で試算)。


Q:肝機能異常で血液検査を2週間間隔で2回受けたら2回目は最初の半額位でした。
  検査項目はほとんど同じだと思うのですが。

A:検体検査では結果を判断するという医師の行為に対する評価として、検査判断料が
  算定されます。これは月1回ですので同一月の2回目以降の同内容の検査では
  判断料の分だけ負担は少なくなります。


Q:高齢者以外でも定額制の医療が受けられると聞きましたが本当でしょうか。

A:高血圧症や糖尿病などに対する運動療法管理指導料の算定がこれにあたります。
  例えば糖尿病の場合、院内処方では血糖検査や尿検査などと治療薬を含めて、
  月に1200点の定額算定となり、社会保険の2割自己負担で2400円の定額負担
  となります。なお再診料は別途算定されます。検査施行の有無にかかわらず一定
  の負担となる点にご留意下さい。医療機関によっては採用せず従来の出来高算定
  のみの場合もあります。おかかりの医療機関でご確認下さい。


Q:近くの医院で大学病院への紹介状を書いてもらうといくらぐらいかかりますか。

A:この場合は紹介状は保険診療で定められるところの「診療情報提供料(B)」
  に該当しますので290点の算定です。自己負担3割では1000円程です。
  保険診療ですから、文書料などは別にはかかりません。なお診断書は全く
  別で、一般には自由料金です。混同のないようにご注意下さい。


Q:72歳の母がかぜをこじらせ往診してもらったら、診療代が500円でした。
  どこでもこの程度の金額ですか?

A:往診料は一般に650点と保険診療点数が決まっています。従って老人医療
  の一般診療と同じ一回500円負担が原則です。ただし交通費は実費を別途
  請求可となってますので、ガソリン代などの実費を請求されることもあります。


:バイアグラは一錠1300円と新聞に出ていました。例えば病院で
  5錠処方してもらうと6500円払えばいいということですか。

A:1300円(50mg錠)というのはメーカーが採算性などから概ね
  妥当と考えた目安の価格です。健康保険の給付対象外ですので
  自由診療ですから価格の設定は医療機関により異なります。
  ただし、あくまで薬剤のみの価格ですので、ほかに診療や検査の
  費用がかかります。この点についての誤解が多いようです。
  つぎの質問をご参考下さい。


:バイアグラの処方を希望して受診したら、泌尿器科の検査をして
  必要性が認められれば処方すると言われました。
  こういった場合の診療は健康保険か効くのでしょうか?

A:厚生省の見解ではバイアグラの処方に関係する診療や検査の
  一切は健康保険の給付対象外としています。
   従って上記の場合、原則的には診療費用は全て自己負担の
  自由診療となります。しかし結果的にバイアグラ以外の治療が
  選択されれば、保険適応の可能性が考えられます。このように
  厚生省見解に従うと医療現場での混乱の発生も予想されます。
  責任逃れと医療費削減が目的ともとられかねないこの見解に
  対して、見直しの声が早々と高まってもおかしくありません。
   性機能障害は、他の疾患と同様に生活の質に影響をおよぼす
  重要な問題です。偏見や差別のない対応が必要だと思います。


Q:ケミカルピーリングの費用について

A:ケミカルピーリングは化学的に皮膚を溶かし、新しい皮膚を再生
  させニキビ跡や色素沈着をとる方法です。
  美容整形や形成外科では薬剤(AHAやTCAといった溶解液)
  の使用とともに、レーザーやイオントフォレーシス等を併用するので
  一回2万円前後はかかるようです。また皮膚科等を受診して自分に
  合ったピーリング剤を調剤してもらい、指示に従って自宅で行うことも
  あります。TCA自体は高いものではありません。高いのは技術料です。
   一般に美容整形は自由診療のみで治療費も高いところが多いようです
  ので、皮膚科に問い合わせてみるのも1つの手です。


Q:胃潰瘍のためピロリ菌の除菌を勧められました。治療の費用は?

A:ピロリ菌除菌療法はPPIという胃酸分泌抑制薬と抗生剤2,3種類の併用で
  2週間前後服用するのが標準的です。現在保険適用がなく全額自己負担
  ですが、薬価基準ベースで薬代を試算すると2万円前後となります。
  除菌が成功すれば、潰瘍の再発率が低下し病院通いから開放される可能性
  も高く、それほど高額とはいえないと思います。
  もっとも海外では胃潰瘍の標準治療として除菌療法が確立してますので
  日本でも早く保険適応になって欲しいものです。除菌したほうが長期的には
  医療費削減になります。


Q:禁煙のためのニコチンガムやニコチンパッチはいくらくらいしますか

A:これらの入手には医師の処方箋が必要ですが、健康保険の適応はありません。
  ガムは一枚80円程度、パッチは一枚で500円程です。パッチは一日一枚でよく
  これからトライする方にはパッチがおすすめです。通常約2ヶ月の使用で高い
  成功率で禁煙できるとされています。


Q:複数の医療機関に通院していますが、薬をもらうときに薬剤一部負担金というものを
  請求されるところとされないところがあります。どういうことでしょうか。

A:薬剤一部負担金制度は、処方薬の薬価や種類に応じて健康保険の自己負担分とは
  別に一定の負担金が徴収される制度で平成9年から導入されました。細かい規則が
  あり算定方法が複雑ですが、例えば内服薬1種類では負担金無し、2−3種類では
  一日につき30円といった計算になります。6種類以上は一日100円ですから2週間
  で1400円もいわゆる薬代以外にかかるわけです。この負担金は老人慢性疾患外来
  総合診療料や運動療法指導管理料などの包括医療で算定している場合は免除に
  なります。従って薬の種類や包括制の導入の有無で負担の有無が変わるわけです。
   この制度は患者さんにメリットはゼロで、きちんと診療している医療機関にとっても
  不合理以外の何物でもないのは明らかですから速やかに見直して欲しいものです。
   なお一部負担金は病院や薬局の収益にはなりません。まるごと医療費に充当され
  ます。


Q:経口避妊薬の内服にかかる費用は?

A:ピルもバイアグラ同様に医師の処方箋が必要ですが健康保険の適応外です。
従って自由料金ですが、産婦人科医の団体では医療機関によって極端な差が
でないようおおよその基準を取り決めているようです。
薬代と診察費をあわせて一月5000円前後が1つの目安と考えられます。


担当者より:バイアグラに関わる医療機関での負担額は1錠あたり3千円前後
        とお考えください。
        これには薬剤費だけでなく診察料や検査費用も含めてです。
         今後は健康保険適応外の薬剤が多数出てくると予想されます。
        保険適応の場合と負担がかなり異なりますのでご注意ください。
         もっとも同じ治療薬でありながら理由をつけて保険適応をはずし
        医療費の削減を図るような方針はあまりにも場当たり的で今後
        破綻しないかと心配になります。

        


お知らせ
平成12年4月の診療報酬点数および薬価基準の改定により
患者さんの自己負担が変わりました。診療が+1.9%、薬価が
-1.7%で実質0.2%の引き上げと言われていますが、包括制
や定額制の医療の導入拡大により、全体では-1.9%の合理化
(引き下げ)となっています。疾患、治療、医療機関の規模等
により、負担は以前と比べ増えたり減ったりしますのでご注意
ください。



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