さらに詳しく知りたい人へ、コンピュータ関連おすすめの一冊

コンピュータの時代を開いた天才たち:Out of Their Minds デニス・シャシャ/キャシー・ラーゼル 著 日経BP社刊 1998年
ジョン・マッカーシーやダイクストラ、コンピュータサイエンスの教科書に必ず登場する偉大な サイエンティストたちのインタビュー集。
大学で使っている数式がぎっしりの教科書よりこの本の方が人間味があっていいんじゃないの ということでコンピュータサイエンスに興味がある人に推薦します。 というよりこの本は読んでおいた方が良いと思います。 バッカス=ナウア記法、オブジェクト指向、ダイクストラの最短路アルゴリズム、 有限状態オートマトンなどなど教養的に知っておいて損はないテーマについて インタビューやエピソードをまじえながらわかりやすく解説されています。 FORTRANの設計者ジョン・バッカスが数少ないインデックスレジスタでDO文の実現に苦労した話などたいへん興味深い。 我々はそういった先駆者たちが苦心したともしらずにプログラミングやらインターネットなど 日常的にコンピュータを使っているわけです。

マイクロコンピュータの誕生:わが青春の4004
嶋 正利 著 岩波書店刊 1987年
世界初のマイクロプロセッサ4004の開発者による開発秘話。
嶋氏らが開発したマイクロプロセッサが産業界に与えた恩恵は はかりしれないものがある。 嶋氏に国民栄誉賞が贈られてもいいのではないでしょうか? アメリカで4004開発に大成功をおさめた後、日本に帰国した嶋氏は 組織の一社員として埋没してしまうが、 やがてインテル会長から直接、次期8ビットCPU開発にぜひとも嶋氏をと 渡米要請がくる。それで「君はいったい何者なんだ」という話になる。 再渡米した嶋氏は8080、Z80などの傑作CPUの開発を行う。 この本を読めば、日米の組織や文化の違いがよくわかる。

暗号のすべてがわかる本 吹田 智章 著 技術評論社 刊 1480円
第二次世界大戦ではドイツ軍のロータリー式のエニグマ暗号機が活躍した。 暗号には複数個の素数の歯車の組み合わせなどを利用して 長周期の文字列発生装置を作ればよいことがわかる。 (なんとRSA方式の暗号の源流がこんなところにあったとは!) 暗号解読にはコンピュータも利用されたが、その存在が軍事機密ゆえに歴史の闇に葬られ 史上初のコンピュータがどれであったのか判定をむずかしくしてしまったのである。 この著は、推理小説に出てくる暗号からデジタルの暗号技術まで網羅していて 暗号技術のメカニズムとその重要性をわかりやすく説いている。

ラオックス ザ・コンピュータ館
高橋 範夫 著 KOEI刊 1500円
1998年目下、パソコン不況が表面化しているが、 この本が出版された1995年当時Windows95も発売され 空前のパソコンブームが巻き起こっていた。
この本は、ラオックス ザ・コンピュータ館で働く人々のインタビュー集である。 ・パソコン店舗はどうして1階が本屋なの? ・秋葉原は終戦後どうして電気街を形成したの? こういった謎がすべてわかる一冊だ。 中でも本に登場する自衛官出身のザ・コンピュータ館の杉浦店長の インタビューは興味深い。 「死んだらおしまい。生きているうちやりたいことをやる。...」 そして、そのとおり行動する人生哲学は圧巻である。

Win32 API散歩道
きた あきら 著 SOFTBANK BOOK刊 1200円 1998年
Win95は複雑極まりないが、なにかわかりやすい本はないのか? ということでこの一冊をあげてみました。 ですが、やっぱりWinはむずかしく。複雑極まりないのです。 まともに動く方が不思議なくらいです。

画の出るレコードを開発せよ! 神尾 健三 著 草思社刊 1600円 1995年
この本は直接はコンピュータとは関係がないのだが 未来のマルチメディアを考える上で選んでみました。
現在のDVDにみられる方式対立の構図は レーザーディスクとVHD、VHSとベータマックスまでさかのぼることができる。
この本の作者はVHD開発に従事した人のようで 針を使うVHDでどうやってレーザーディスクに対抗しようとしたのか 今となっては疑問があるところですが、当時レーザーダイオードのコストは 一個何万円もしたのでコスト面で十分対抗できると考えたようだ。 松下幸之助はVHDディスクの量産化を一年以内で実現するように指示するが (幸之助いわく商いはタイミングが大事なのだと) その後、レーザーダイオードは量産化で驚くほど安価となり 逆にVHDディスクの量産化に遅れがでてVHD陣営は敗北する。
業界にとてつもない影響力を持ち、神様と呼ばれた松下幸之助も今やこの世にない。

DTPワーキング実践プロセス1999
編集部 編 グラフィック社
1999年 デジタル化が進んでいる出版業界でDTPがどのように行われているのか、 第一線で活躍するデザイナーやオペレータみずから解説してくれるすばらしい本。 彼らの作品を観ているだけでも楽しくなってきます。 インパクトのある本や雑誌の表紙、あるいは商品パッケージがクライアントの きびしい要求にもまれながら、より精度を高めて仕上がってゆくのがよくわかります。 ワープロ、表計算以外にコンピュータで何ができるの?といった懐疑的な方々も この本を読めば納得することでしょう。 まだ撮影用カメラのほとんどがアナログカメラのようだが デジタルカメラ キャノンEOS D2000の活用事例などプロの現場使用に耐えうる デジタルカメラが登場してきており、 ちょうど今がアナログカメラからデジタルカメラへの過渡期であることがわかる。 この記事を読んでるとフィルムを使うカメラはかなり早くすたれるのではないかと 思われます。

憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座 C++による実践的ソフトウェア構築入門
Tucker! 著 翔泳社 1998年
憂鬱なプログラマの...タイトルが大変ユニークです。 本の内容はずば抜けてよい。名著です。 オブジェクト指向とはなんぞや?クラス?継承?インスタンスとは? メンバ関数?コンストラクタ?デストラクタ?オブジェクト指向分析設計方法論とは? オブジェクト指向では謎めいた言葉が次から次へと登場して多くのプログラマを混乱させ憂鬱にしていますが この講座を読めば大丈夫でしょう。 この本を読んでオブジェクト指向で大規模アプリケーション・プログラムを設計しましょう!

見て、作っておぼえるシャープポケコンG850徹底活用 BASICで簡単制御 井上隆徳・井上照善・小沢健人 テクノプレス 1997年
この本は千円しかしないので買ってずいぶん得した気がします。 G850は工業学校とかで使われているポケコンのようですが、特に50ページのライントレースセンサー部の回路とか 参考になります。どこがというとセンサーの動作がLEDで目で見て確認できるので半固定抵抗の調整が楽なのです。 この本には相撲ロボットの作り方までは解説されていないようですが、 ポケコンでは入出力ポートの数が8ビットしかないのでまともな相撲ロボットが制御できないとお考えの方もいるでしょう。 ご参考までに解説しますと2つのDCモータの制御に3ビット使用し、 (2ビットでは不足のようです。最低 前進、後退、停止、右旋回、左旋回が必要) モータドライブ用の2個のTA7291Pにはデコーダ回路を入れて4ビットにしてやります。 そして敵ロボット検知用の超音波センサーを左右に2個、端検知ラインセンサーを前左右に2個、後ろ1個配して これでぴったり8ビットでたりているわけです。 このポケコン相撲ロボットならワンボードマイコンよりずいぶん手軽にできると思いますので、 夏休みとかみなさんもトライしてみてはいかがでしょう。

コンピュータ将棋の進歩2松原仁 編著 共立出版 1998年
最近、パソコンソフトのコンピュータ将棋もずいぶん棋力がアップしてきて、年々コンピュータに勝つのが
むずかしくなってきています。それではコンピュータ将棋はどのように実現されているのか?
興味を持たれている方も多いんじゃないでしょうか?
そこでそんな方々にこの本の6章YSS-そのデータ構造,およびアルゴリズムについて(山下宏)
の記事を読まれることをお勧めします。 山下氏は「AI将棋2」の作者であり、非常に優秀なプログラマのようだ。
駒の位置を示す配列に2次元配列を使わず、高速処理のため1次元配列を採用したりしている。
駒の取り合いによる損得はそれぞれの駒に点数を付けMIN−MAX法で得点計算する。
すべての駒に点数をつけて駒得しながらポイントを徐々に稼ぐ戦法はたしか谷川浩司元名人が若いころ書いた
本の中でも述べられていたような気がする。それに近いものを感じました。
この本を読むと指し手の生成方法、評価関数、探索アルゴリズムなどコンピュータ将棋以外の分野でも
応用できるので、ずいぶん参考になるはずです。
山下氏も2010年ごろ名人を破るようなコンピュータが出現することに期待されている。
みなさんも2010年まで長生きしましょう。

その後、山下氏のこの記事はご本人のホームページでも読めることがわかりました。 インターネットでこのようなすぐれた記事が読めるようになるなんてなんてよい時代でしょう。
「YSS 7.0」 --- そのデータ構造、及びアルゴリズムについて ---
〜〜〜機械仕掛けの将棋指し〜〜〜

たのしくできるPIC電子工作後閑 哲也 著 東京電気大学出版局 1999年 2700円(2000/1/9)
PICの使い方について親切に書かれた日本初の本格的解説書。 PICという言葉は日ごろトラ技とか読んでない人にはよくわからないでしょう。 要するにフラッシュメモリ(書き換え可能)とか内蔵しているマイクロプロセッサチップと思ってください。 メモリを搭載している分、電子回路が小型化でき、さらにチップの価格が数百円と安いので利用価値が高いのです。 最近では専用ICの代わりにPICが使われていることもあるようです。 さて、一昔前の電子工作といえば、74シリーズのロジックICを組み合わせて発振回路や何やら 作り、さらに進むとZ80のワンボードマイコンを使ってモータなどをコントロールしたりしていた のですが、そういうのはもう古いようです。PICを使う。 この本の中でもモータドライブ用IC以外はほとんどPICで実現しています。 超音波や赤外線の送・受信回路も専用ICとか使っていません。この辺がすばらしい。 赤外線通信のプロトコルなども詳しく解説してあるし、いろいろなものに応用可能でしょう。 PICのメーリングリストというのがあってPICに関する質問とかできるのですが、 初歩的な質問をすると「後閑さんのホームページはごらんになりましたか?」 などと注意されるし、PICの商用利用に関するものらしき質問しても猛烈に苦情を言う人も いるのでメーリングリストとかに質問しにくい気の弱い人とか、この本を読んでみてはどうでしょうか。
さあ、あなたもPICを使ってロボットを作りましょう!(個人的にはPICの命令とか少し読みにくい感じがします。) あと、PICを使った実験・開発用のポケコンを開発していただきたい。PICだから本当にポケットに入るようなやつ。作ればこれは売れると思いますよ。 (PICポケコンの仕様例:液晶ディスプレイ、電卓機能(なくてもよい)、内部時計、通信ポート、内部ブザー リアルタイムOS、アセンブラ、簡易BASIC(なくてもよい)、PICライタ、拡張IOキット、メカトロ実験用付属キット)
参考 後閑さんのホームページ「電子工作の実験」
追記:その後、多軸ロボット制御にPICが使われている事例をみつけました。
Hirota's Home Automation Project このロボットはEメールでアームの移動を制御できるそうです。
作られた方いわく、PICについて後閑さんに教えてもらったそうです。
PIC & PC

電子工作のためのPIC活用ガイドブック後閑 哲也 著 技術評論社 2000年 2380円(2000/1/30)
後閑さんのPICシリーズ第2弾。タイトルを見ていると後閑さんは電子工作という言葉にこだわりを持っているようだ。
「この本読んでいろいろ作ってみ」といった感じなのでしょうか。
内容は前作で述べられていなかったタイマや割り込みの使い方が解説されている。
また電子工作事例も高精度時計、データロガーなど役に立ちそうなものが載っている。
PICの活用バイブルといっていい内容で、エンジニアのほとんどがこの本を買うでしょう。
一昔前ならこの手の本はどこかの大学の先生とかが助手や学生に書かせていたでしょう。
後閑さんもこの本はホームページから生まれたといっているので、
インターネットによって世の中が変わってきていることがわかります。

日経ソフトウエア1999年12月号石川竜也 他著 日経BP社刊 960円 1999年
以前、Win32 API散歩道という本を紹介したのですが、
この日経ソフトウエア1999年12月号の「特集1知ってるようで実は知らないWindowsのしくみを探ってみよう」
がわかりやすくてお勧めです。懸賞に当たって、ただでもらったのでラッキーでしたが、大きな本屋さんに行けば
バックナンバーがあるかもしれません。また内容がよいので、いずれ単行本化するかもしれません。
特に「これがメッセージの正体だ」という記事とか読むとよくわかります。
「メッセージの実体は32ビットの整数値です。メッセージでは,ウィンドウ・ハンドル,メッセージの識別子
,追加情報(1),追加情報(2),という四つの情報がそれぞれ32ビットの整数値で表現されています。
そしてこれらの情報をMSG構造体と呼ぶ型に格納して送信しているのです。・・・・・略」
いやあ、実にわかりやすいですね。この記事はWindowsプログラマの方に絶対おすすめです。

図解でわかるアルゴリズム入門瀬戸村勝利 著 日本実業出版社刊 1700円 1999年(2000年2月11日)
昨年のパソコン出荷台数は1千万台を超えたそうですが、プログラマの数もそれほど
増加したという話を聞きません。
最近のプログラミングもオブジェクト指向やビジュアル環境とか部品の組み合せで楽をするのが
流行しています。
しかし、内心、本格的なプログラミングをやってみたい。「今日から俺はプログラマを目指すんだ!」
と決意した人はどうすればよいのでしょうか?
そこでアルゴリズムについてゼロからスタートする人にはこの本をお勧めします。
構造化プログラミングやシェルソート、バイナリサーチの解説とか
いろいろ本がでていますが、フロー図などがすっきりしてて、この本が一番わかりやすいと思います。
この本はプログラマの仕事について次のように述べています。
「コンピュータに教える動作手順のことをプログラムと呼び、このプログラムこそ、
無限の可能性をコンピュータに与えるものです。このコンピュータプログラムを作成するのが
コンピュータプログラマの仕事です。」
このWebページを読んだ人のなかにもプログラミングに興味がある人がいるかもしれません。
そういう方はどうかプログラミングでコンピュータに無限の可能性を与えてください。

これでわかったバーコードの応用エーアイエムジャパン編 株式会社星雲社刊 2520円 1998年(2000年2月14日)
POSシステムというのをご存知だろうか。POSとはポイント・オブ・セールスの略で
コンピュータで商品の売れ筋分析から在庫管理まで行うシステムである。
流通業界では、長く売れ筋の分析を経験と勘に頼っていたのだが、このシステムの普及で特別な調査の必要もなく、集計作業がリアルタイムで
行えるようになった。そもそもコンビニエンスストアには何千もの商品が揃えてあって、それをアルバイトがたったの一人か二人でやって行けるのも
POSシステムがあるからであって、すべての商品にバーコードが付いているのでバーコードを読み取るだけでレジ打ち作業も少ない。
POSシステムは日本の流通のあり方を大きく変えてしまった。現在、小規模小売り店や長崎屋などの中堅スーパーが苦しんでいるのも
人々が日用品の多くを近くのコンビニで買うようになった影響も大きいのだ。
この本は流通に革命を起こしたPOSシステムを販売、物流、製造、セキュリティー、サービスの分野に応用した事例集である。
「かんばん」の工程進捗管理でバーコード無線ハンディターミナルを使用する事例や無線ハンディターミナルでバーコードを読み取り、
不良品報告するISO9000シリーズ要求のトレーサビリティのやり方など参考になる。(システム・エンジニア向け)

(参考)POSシステムについて知りたい人は「店員:レジ子さんの場合」を見てください。
コンビニで働きたい人は「アルバイト:あなたの場合」をみてください。このページは非常にわかりやすいです。
自分の客層はどこに分類されているのでしょう?ちょっとレジを覗いてみてください。
東芝テックコンビニエンス
http://www.puff.co.jp/ttec/pos/pos.htm
店員:レジ子さんの場合《POSシステム概要編》
http://www.puff.co.jp/ttec/pos/01/pos01.htm
「アルバイト:あなたの場合《操作編》」
http://www.puff.co.jp/ttec/pos/02/pos01.htm

アスキー月刊.PC 2000年4月号株式会社アスキー刊 490円 2000年(2000年2月27日)
そのむかし週刊アスキーという総合雑誌があって、西社長が「売れなきゃパソコン雑誌にすればいい」などと言っていて、 本当にそのとおりになってしまった記憶があります。
そこで働いていた人々はどうなったのでしょう?

さて、今月号の4月号は力作です。かなり力が入っていて読んでいて単なる特集のように感じません。
いったいどうしたんでしょうか?
エクセルで自由自在使える「表とグラフ」にはいろいろ役に立ちそうなテクニックがまとまっていて 「インターネットにエクセルの図を使うにはどうすればよいか」とかエクセルを活用している人の解説記事も載っていて 参考になります。490円と安いのでこれは買いです。
ビジネスマンもワープロと電子メールができるだけではまだ不十分で エクセルで集計作業やグラフが作れるようになれば大きな顔ができるのではないでしょうか?(学生・ビジネスマン向け)

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