■未来ロボットへの質問■
ロボコムのサイトは1996年1月開設以来、5年間で多くの方々からたくさんの人工知能、ロボットの質問をいただきました。
本ページはその集大成としていただいた質問とその回答をまとめたものです。
ただし、回答については質問を受けた当時のものをベースとしています。
また、プログラミングやメカトロニクスに関する話題については別のページを御覧下さい。
すべての質問はクイズや学校の試験問題のように正解が1つしかないようなものではありません。
ロボットの未来についての質問は不確定要素を含んでいることをあらかじめご了解ください。



■将来のヒューマノイドロボットについてですが、一般化するのは難しいのでしょうが、
ロボットには寿命はあるのでしょうか?
それともパーツを取り替えていったりしたら、半永久に持つのでしょうか?


(回答)ロボットを含めてすべての機械には設計寿命があります。
特に寿命が短いのは「ハードディスク」、「モータ」、「軸受け」、「減速機構」等です。
ロボット製造メーカが補修パーツを維持している限り、それらのパーツは取りかえれば半永久的に持ちます。
(2001/03/01管理人)


■ロボットには眠りは必要なのでしょうか?

(回答)ロボットに人間のような眠りは必要ありません。しかし、未来のロボットには
ある程度、ロボットが獲得した記憶の整理する時間が必要かもしれません。
また獲得した記憶のバックアップをとるような時間が必要になるかもしれません。
未来のロボットならそのようなことも時分割で行えるでしょうから
基本的にロボットに眠りは必要ないでしょう。
また、自己複製、自己再生、成長を行えるロボットならそれらを行う時間は必要です。(2001/03/01管理人)


■ケースバイケースでしょうが、将来のロボットは自動車みたいに登録制になるのでしょうか。
自立型だと、けっこう盗難の可能性もあると思うのですが……。


(回答)盗難のケースが増えれば盗難防止装置たとえばネット接続警報システムがロボットに搭載されることでしょう。
AIBOのような小さなペットロボットには登録の必要はないでしょう。
労働災害や交通事故を起こす危険のあるようなロボットは登録が必要となるでしょう。(2001/03/01管理人)


■自律が進み、持ち主がいなくても、勝手に自立(自活)して生きるロボットの可能性は? 

(回答)未来のロボットは当然、完全に自律化します。しかも互いのロボットがネットワークで協調しながらです。
これはロボットの制御に人間の関与がないということでロボットが「自立(自活)」するということではありません。
自律と自立とではたいへんな技術的ギャップがあります。(2001/03/01管理人)


■電磁波などの攻撃で、ロボットが故障させられる可能性は?

(回答)ロボットはCPUなどの電子部品を大量に搭載している都合上、
ロボットは強力な電磁波等のショックに弱いとお答えしておきます。
自動販売機とまったく同じとお考えください。(2001/03/01管理人)


■飛行するロボットのできる可能性は。例えばフライングバイクのように、一人乗り(個人用)とか
その場合、動力はどんなものになるのでしょうか?


(回答)飛行ロボットの実現性はロボットに墜落の危険がある以外、なんら問題ありません。
しかし、ある程度の重量物を浮上させるには出力の高いものが必要です。
数キロまでの軽量のものは電動モーター、それ以上はガソリンエンジン、マイクロガスタービン、燃料電池が有力と考えます。(2001/03/01管理人)


■いま中国で発表されて話題になっている2足歩行ロボット「先行者」とはいったいどのようなものですか?

(回答)最近なぜかこの「先行者」に関する質問が多いです。このロボットが実際に動いている映像を見たわけでないのではっきりとはいえませんが、スケルトン構造を採用していることで公表サイズが140センチ20キロとかなり軽量のようです。ロボットの重量はモーター類がかなりの部分を占めているのではないでしょうか。写真からはCCDカメラは搭載していないように思われます。アームの部分もかざり程度でバランスをとったり、あまり重いものを持ち上げることはできないようです。言葉を認識する部分および歩行の演算部分は写真に出ていませんが、おそらく音声は頭部のマイクからケーブル経由で外部のコンピュータで処理しているものと考えられます。外部給電方式なのでバッテリー、コンピュータをこのロボットに搭載するとなるとかなり重くなってしまうのでその辺が改良すべきこれからの課題でしょう。歩行形態は主に股関節でボディを傾けることで歩行時、左右の重心のバランスをとっていると推定できます。おそらく動歩行も可能でしょう。また、少々の傾斜は足の関節部で吸収することができるでしょう。丸く黄色い眼と三角形の鼻がついていたり、頭部のデザインはかなりユニークですが、ロボットの腰の機構、脚の関節の位置、自由度を見る限り、2足歩行研究のアプローチとしては非常にオーソドックスな方向ではないでしょうか。
(2001/03/30)


■AIと人間の大きな違いは何か?

(回答)私はAIと人間の大きな差は脳の機能に年齢的な衰えがあるかないかの差であると考えています。
AIは記憶力や集中力の持続度の低下などの経年劣化を考えなくてよいでしょう。
(AI会議室2000年11月3日)


■言語の発達と脳の発達にはどういった関係があるのでしょうか?
以前テレビで2台の別々のコンピューターがレールにのったカメラ付きのミニュチア電車をそれぞれ管理運営していて、双方の電車に積んであるカメラにぬいぐるみのライオンが写ったら信号を発せという命令をしたところ、リンクしている2台のコンピューターが共通の信号を創造したというのですが、具体的にAIにどういった影響をあたえるのでしょうか?

(回答)推定しますと2つのコンピュータが新しい入力特徴のある物体に対して共通の符号あるいは名前を割り当てたということではないでしょうか?
コンピュータはビデオカメラからの入力画像から特徴を抽出して物体が何であるか判定します。
その時、物体が何であるかを知識データベースに問い合わせしますが、データベースにまだ載っていない特徴をもった入力に対しては適当な新しい符号を割り当ててやらなければなりません。
コンピュータが別のコンピュータに接続されているならコンピュータ間で同じ入力特徴をもった物体に対して同じ符号を割り当ててやればコンピュータ間の知識データベースでやりとりするとき便利です。
日本語でもリンゴならリンゴ、ライオンならライオンといったようにある程度同じ単語をつかっているから意味が通じるわけです。
コンピュータの場合もどんどん接続されるコンピュータの数が増えたとき、コンピュータが新しく学習した知識に関して同じ符号なり名前を使えば知識データベースに効率よく知識が蓄積されて行くことでしょう。(AI会議室97年8月25日)


■チェス世界チャンピオンがIBMディープブルーに敗北したことをどう解釈すればよいのか?
・ディープブルーのことについて思うのですが、あのコンピュータは、演算速度を向上させ十数手先までのすべてのパターンをシミュレートするという力業で、カスパロフ氏に勝利したわけですが、この点だけを見ると、ディープブルーは、推論を行って勝利したとは、思えません。しかし、結果と言う観点から見れば、チェスを行い勝利したと言う事実には、変わりがありません。もし、それと同様の手法でコンピュータが人間の思考と同じ結果を出したしたらそれはどう解釈すべきでしょうか?(AI会議室97年12月11日)
(回答)チェスのようなゲームでは勝負のシロクロがつきますので人間が負けたということは、はっきりいってそのとおりです。
その他の分野における推論ですが、やはりAIが人間と同等の結論を導いたからといってAIが人間と同じ思考をしているとはいえないと思います。なぜなら近未来においてもAIは人間とはまったく異なるハードやソフトで構成されるような気がするからです。
AIの方が人間より高速に正しい結論を導いたという事実があった場合、そのAIはその問題に限定して人間より推論の能力が高いとはいえると思います。
限定してというのは現在でもディープブルーはチェス以外のことはできないということがあるからです。
推論と人間的思考は必ずしも一致しないと思います。
たとえで悪いのですが、レオナルドダビンチや19世紀の初期の飛行研究者たちは空を飛ぶために鳥の飛行を観察し、グライダーなど鳥の羽の形状や動きを模倣しようとしていました。
しかし、現在飛んでいる飛行機は鳥とは似て非なるものであることはみなさんご承知のとおりです。
ある意味においてはAIも初期の飛行機研究と似た状況にあるといえるのではないでしょうか?(97年12月13日)

・世界チャンピオンがスーパーコンピューターに負けてしまいましたが、いまだ腑に落ちないことがあります。それは、いくらスーパーコンピュータと言ってもすべての手を調べるわけには行かないために行っている、状況の点数化ということに関連するものです。その点数評価は世界チャンピオンがやったわけではなく、世界チャンピオンよりも弱い(といっても少しの差ですけど)人がコンピューターの判断のよりどころとなる点数評価を与えていたはずなのです。世界チャンピオンが普通にもしやれていれば負けることはなかったのではないのかなあ。自分だけで考えててもわかんないのでいろいろ教えてください。(2000年6月26日)
(回答)質問は世界チャンピオンに劣るグランドマスターがディープブルーを強くすることに
関与したのになぜチャンピオンはディープブルーに負けたんだろうか?ということでしょうか。
たしかにコンピュータチェスの指し手にアドバイスをしたり、コンピュータのアルゴリズムを考えるのは人間です。
でもそれを演算処理するマシンの能力は一秒間に何億手も読める。
すなわち短時間で多くの局面を評価関数で評価できます。
短時間で多くの手が読める。
この点が人間と大きく異なりますのでもはやチャンピオンでもディープブルーに勝つのが難しいのでしょう。
駒のバランス、大局観など評価がむずかしいだろうと思われるでしょうが、
ディープブルーの開発チームはそれを上手に数値化することに成功したのでしょう。
これは数十年間のコンピュータチェス研究の成果であり、
その研究の成果としてチェスの世界チャンピオンを破ったということがいえるのではないでしょうか。
時が経つと一秒間に何億手も読むコンピュータマシンに互角に戦える人間の能力の方が
むしろ驚異的であると考えられるようになるかもしれません。

もし仮にあなたがオセロや五目並べのプログラムを書いて
そのプログラムを搭載したコンピュータに負けるようなことがあったら
悔しさよりむしろ自分のプログラミングの腕、能力に対して誇りを持つのではないでしょうか。
今後もあらゆる分野でマシンが進出してきてその能力が人間を超えるようなことがあっても
それは研究者や技術者のたゆまない研究と努力のおかげであることに間違いありません。

また、チェスや将棋、囲碁のコンピュータ進出の脅威についてですが、
チェスや将棋、囲碁など盤面に小さな宇宙や指し手に人生の縮図のようなものを感じるので
それが好きでたまらないという愛好家も多いようです。
コンピュータが人間より詰みを早く発見できるからといってゲーム自体が持つ面白さが
なくなるわけではないのでコンピュータに最高位を譲ることで、
チェスや将棋などのゲームが衰退するといった心配はいらないと思います。

■真のAIの登場には、人の思考を完全に理解する必要があるのでしょうか?
理解するということを理解していない我々は、AIを作ることはできないのでしょうか?
(AI会議室97年12月12日)

(回答)理解は実現の手助けにはなるが、物事を理解することと物事を実現することは関係ない場合がある。
コンピュータの演算速度が現在よりも何桁も向上すれば人間の思考を完全に理解する前に別のモデルによる高度なAIを開発してしまう可能性もある。(2001年5月12日)

■AIは実現できないのではないか?
人工知能が、人間の模倣を目指すという点においては、
僕の、それに対する基本的な考えは、批判的です。
現在、大学の文学部に通っていながらも、卒論についてはそういう線をたどろうかと思っています。

その批判の理由はいくらでもあるのですが(そしてここでその真偽を問いたい)、
ひとつとして、情報の型、というものがあります。

つまり、人間は何かを情報として頭の中にとどめる際に次のようなことが行われていると考えられます。
1、認識段階。
 ものを見る、触る、聞く、など、感官によって得た「生々しい情報」を、理性によりカテゴライズし、
分析可能な形態へと「枠付け」をする。即ち、情報の言語化です。それを仮に「空洞的情報」と呼びます。
コンピュータが扱えるのはこの情報までです。即ち、元来「生々しい情報」を扱う術を持ちません。
2、記憶段階。
 ここで人間とコンピュータは決定的に別の道を歩みます。
一方でコンピュータは「空洞的情報」をそのまま2進数で記憶します。
他方、人間は、記憶の際に「空洞的情報」の再原初化を行います。それを再び「生々しい情報」に還元して記憶します。
これは、コンピュータには出来ないことです。
3、想起段階。
 コンピュータは、既に処理可能な「空洞的情報」として記憶にとどめているので、それをそのまま「メモリ」に呼び込み利用するだけなのに対し、
人間は、記憶内部の「生々しい情報」を、内部で再び認識し直さなければなりません。これは、記憶の危うさに直結します。

このことは、人間の劣性を物語っているかのようですが、実はそうではありません。
内部に「生々しい情報」を蓄える、ということによって、何が可能になるか。
それは、外部情報と内部情報を同じレヴェルで処理することです。これは素晴らしいことです。

(回答)目から入ってくる大量の情報がどのように処理されているか。
海馬でどうやって意識が作られているかそういったことが解明されれば、
あとは人工的にどうやってそれらを高速でシミュレートするかという問題になると思います。
確かに簡単ではないと思いますが、頭の中で哲学的に考えるより、
脳のしくみについて実験等で解明する方が近いかもしれません。(2000年10月5日)


■鉄腕アトムのような高度な知能ロボットは実現可能か?
鉄腕アトムみたいな人間とほとんど変わらないロボットって
将来実現可能ですか?もし、可能ならいつ頃できますか?
あと、前に本で人工知能チップは2024年ぐらいにできると
聞いたのですが本当ですか?(AI会議室2000年9月5日)

(回答)たしかに人間の思考や行動は複雑ですが、科学で説明がつかないほど
電子回路や高度テクノロジーで代用できないほど不可思議ではなくなってきているということです。
逆に人間のような感情と高度な知能をもつロボットは実現不可能であるとして
その証明を行う方が難しいのではないでしょうか。

物体が光速より加速できないことは相対性理論で証明できますし、
永久機関が実現できないこともエネルギー保存則や熱力学第二法則で
理論的に証明できます。

人工知能についてはどうでしょうか?
人間のような思考が可能な人工知能が実現できないという法則は
今のところ見つかっていない。


人工知能の開発に膨大な資金と大量の研究者が動員されるわりに
人工知能を開発したからといって携帯電話のようにすぐ儲かる市場は存在していません。
したがって、人工知能開発は21世紀の国家プロジェクトと位置付けられる
ことでしょう。
人工知能チップの実現が2024年の根拠は未確認ですが、
1940年代の真空管で人工知能が構成できないことはサイズや遅延時間の点で明らかでした。
1960年代のICでも集積度の点で不可能でした。
1990年代のCPUでも集積度クロックの遅さがネックでした。
2000年代 分散処理ネットワーク化が進むがまだ集積度、速度的に無理。
2010年代 国家レベルの大規模人工知能開発プロジェクトが開始される。ニューラル処理専用のチップの原理が完成?
2020年代 3歳児程度の知能を実現
2030年代 7歳児程度の知能を実現
2040年代 14歳程度の知能を実現
2050年代 人間と同程度の知能をチップ上で構成を実現!

こんな感じで上手く開発が進むといいですね。(AI会議室2000年9月26日)


■ヒトらしい思考のプロセスを客観的に見る方法(一種のテスト)はないのか?ヒトの思考とAIの違いは何か?
(AI会議室2000年5月21日)

(回答)
Aという人工知能とBという人工知能があるとすると、どちらのAIがよりヒトらしい思考プロセスで問題解決しているか評価したい。ということなんでしょうか?
記憶力も演算能力も優れているとはいえない人間がスーパーコンピュータより
はるかにすぐれた働きをするので「ヒトらしい思考」というのが重要なんだろうと思います。
AI評価のためには階層構造や多次元的なパラメータを持つ新しい尺度を作らないとだめでしょう。
単にコンピュータの演算速度だけのようなものではまったく意味がありません。
その尺度で仮にレベル5を人間の思考レベルとすると今の人工知能はレベル0か1?

「ヒトの思考とAI」ですが、簡単にいうとヒトの思考ではムダなことや起こりそうもないことを考えることが
非常に少ない
ということがいえます。そのため物事を深く考えることができます。
(中にはどうでもいいことをいつまでもくよくよ考えつづける人もいるようですが、)
AIの場合は実際に起こりそうにないことについても打ち切らずに読んでしまうことがあるので
ずいぶんムダも多いのですが、
AIの演算能力が向上すれば、短時間でたくさんの手を読むことができるので
その読んだ膨大な手の中から最適な解を検索して
人間と同様な結論が得られるわけです。


■チューリングテストで何をもって合格とするか?
(AI会議室2000年10月2日)

(回答)人工知能と会話している相手が錯覚して人工知能に対して恋愛感情を持つようなものだと
合格点ではないだろうか。
2001年現在、人工知能のチャット相手にラブレターのEメールが送られてきたという報告はない。

■機械が自意識を持つに至り、その機械は何千万と大量生産が可能で、しかもまったく同じ物が簡単に複製できるとしたら、そして同じような自意識がそこらじゅう氾濫するようなことになったとしたら何かしら違和感があるのではないだろうか?
(AI会議室2000年9月8日)

(回答)国境がなくなれば治安が悪化し、風紀が乱れるというような古い考えを持つ人が多いようですが、世の中はヨーロッパ統合のように国境がなくなるような方向に進んでいます。世の中の進歩的な流れは変わりません。
それと同様に人工知能の進歩も誰にも止めることはできません。そして意外にも自意識を持つような機械が世の中に氾濫してもそれほど混乱は生じないと思われます。人間はそのような環境の変化にもすぐ慣れ、適応するだろうということです。ただ、人間が不快に感じるような世の中を技術者はデザインしないだろうということも考えられます。
(2001年5月12日)


■「人間のような感情と知能を持ったロボット」に対する危惧、人間はそれを使いこなせるほどの智慧と賢明さを持っているのだろうか?
(AI会議室100年10月1日)
 私が「人間のような感情と知能を持ったロボット」
に危惧を抱くのは今のところ次のようなことからです。
 人間はそれを使いこなせるほどの智慧と賢明さを持
っているのだろうかという懐疑です。
 これは前に書いたクローン人間の製造技術のような
ものにも相通じるものですが、さすがにクローン人間
を表だって作ろうという人間はいないにしても、食用
にする牛などは既に日本でも製造されています。何ゆ
えにそんなものを食べなくてはならないのか、という
素朴な嫌悪と疑問は置き去りにしたままです。
 無論、ロボットとクローンは違います。しかし、「人
間のような感情と知能を持ったロボット」は程度の差こ
そあれ、同じような人間の存在の根源を問うような問題
をはらんでいるように思います。
 本来は人間がやらなければならない行為、たとえば子
育てなどで、共働きなどで忙しいというのにかこつけて、
そのようなロボットに子供の面倒をみさせるというよう
なことも起こらないとは限らないのです。これは夢に描
くより、いろんな問題をはらんでいることだと考えざる
をえないものだと思います。
 また、今の人間の資本主義的な、市場原理優先の、ま
た物重視の価値観がはびこった世の中で、人の人生すら
すべてそこに向かうような状況がときにあるような実情
を見るにつけ、その中で、科学者が「人間のような感情
と知能を持ったロボット」に最初抱いた夢や理想、理念、
コンセプトといったものが、商業主義的な売れればいい
式の市場に蹂躙されて形骸化していくのは避けられない
ことのようにも思われます(その意味で、現代の科学者
は政治的に、また生活者として賢明さを持たなくてはな
らないと考えます)。
 
 人間がやらなければならないことは人間がやり、過酷
な環境下での作業や、少しでもミスをしたら困るような
作業、また人間には望むべくもない正確さと速さが要求
されるような作業・・・などはロボットにやらせる、と
いうような明確な線引きを人間は行うべきなのではない
でしょうか。
 そのようなロボットには、「人間のような感情や知能
(思考)」はいらないと私は考えるのですが、いかがな
ものでしょうか。
 本来は人間がやらなければならない行為を、ロボット
に代行させることで、人間にとって大事な何かがなおざ
りにされていく、そんな危惧を私は抱いています。

(回答)子どももいつかは大人になるのだし、人工知能開発や運用面にいろいろ困難があろうと
ひたすら前に突き進むのがいいのでは。かつてのライト兄弟のように。

>本来は人間がやらなければならない行為、たとえば子
育てなどで、共働きなどで忙しいというのにかこつけて、
そのようなロボットに子供の面倒をみさせるというよう
なことも起こらないとは限らないのです。

ベビーシッターにあずけるように。ロボットで子どもを育てるか自分で育てるかは個人の自由になると考えられる。

人間が本来やらなくてよい仕事を人工知能ロボットにまかせることで
人間が本来やらねばならないこと(たとえば子育て)にもっと時間をかけることが
できるようにもなる
のです。


■何故人間のような感情と知能を持ったロボットが必要なのか?
何故人間のような感情と知能を持ったロボットが必要なのでしょうか?
そのような技術にチャレンジするということでなら意味はあると思います。
しかし、最近のクローン人間の製造まで可能たらしめる生物学などの進歩
などにみられる本末転倒的な現象をみるにつけ、一度考えておかなればな
らない問題のようにも思います。(2000年10月1日)
(回答)
「ハートを持ったマシンは人間の役に立つ」これが一つの答えです。
「人間にできてなんでこんなことが機械にできないの?」ということが
世の中にはたくさんあって今の機械に もうちょっと高度なことをやらせたいとき
どう転んでも「こころ」という部分に行きつくと思います。
人間と動物、機械の大きな差は感情と知能ということです。

介護ロボット一つ考える場合でも、思いやりのあるような
ロボットに介護してもらった方がいいに決まってます。

またAI研究者の最終目標は「機械に創造性を持たせる」ことではないでしょうか。
はっきり言いきれませんが、創造性と心は密接な関係があるのではないでしょうか。

人工知能が発生することで世の中は混乱しますかね?
そういうことは人工知能が作れるようになってから
悩めばよいのではないですか。

しかしながら、世の中には多くの問題があってそれを解決するために
作られた物がもう一つ余分な問題を残してゆくというのは
ありえる話です
自動車の交通事故や排気ガスのようなものかもしれません。

自動車事故で年間何千人の人が亡くなっていますし、
ラットの実験でディーゼルエンジンの排ガスによって
流産の発生率が高まることがわかってきたようですが、
自動車免許を持っていない人の方が少ないようですし、
我々が食べている物、身につけている物、すべてトラックで
輸送された物です。ですからディーゼル車をすぐに廃止する
わけにはいきません。

人工知能が実現したらどうなるのでしょうか?
そのうち我々の身の周りのものすべてが人工知能によって
作り出され、支えられるようになるかもしれません。
いろいろ問題はあるけれど結局は便利だから人々は人工知能を無意識に
使い続けるのではないでしょうか。(AI会議室2000年10月1日)


質問された方々のハンドル名等は省略させていただきました。


ファイル作成日2001年5月12日

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