献身の勧め

神さまは、この世を創造されたそのご意志とご計画の中で、あなたを献身へと招いておられます。

献身とは、神さまにからだを献げることですが、神さまは、特に、伝道者として人生を献げよという呼びかけをなさいます。これを召命といいます。召命は、伝道者になれという神さまからの呼びかけです。この召命を受け、それにこたえ従うことが、今あなたに求められている献身です。

この献身は、人に勧められてするものではありませんし、自分の覚悟や決断でするものでもありません。神さまからの召命は、聖書の御言葉を通し、礼拝を通して、わたしたちに告げられます。しかし神さまは、あなたが気づくためにあなたの周囲の人の言葉を用い、また、あなたが神さまのご計画を知るためにあなたの決心を求めておられます。

伝道者への召命は、年齢にも職業にも能力や性格にもよりません。自分ではこんな私が伝道者になるなんてあり得ないと思っていても、神さまは、あなたが伝道者になることを求めておられます。そして、神さまは、あなたがそのことに気づいて決断するのを、待っておられるでしょう。

私は、社会人9年目に入るころ、企業でインターネット関連の新しいビジネスの開発に意気込んでいました。ある日曜日の礼拝後、教会の近くのファミリーレストランで、同じ教会に出席している神学生二人と食事をしていました。その時、そのうちの一人がふと言いました。「うちの教会から献身者が出るといいね。」

その言葉は、他人事ではありませんでした。この私に向けられた言葉としか思えませんでした。それは、神さまから、その何気ない言葉はおまえによって実現することになっているのだと言われているようでした。

そのころから、毎日曜日の説教が、私に向かって献身せよと語る言葉になっていました。実は、私はその数年前から、いつでも神さまの声があれば従いますという思いを持っていました。しかし、迫る神さまの言葉の前には、それまでの私の決心などは取るに足らず、吹き飛ばされていました。そのとき私は、私の思いではなく、神さまのご計画によって献身するのだということに気づかされました。

神さまは、あなたが召命に気づき決心されるのを待っておられます。

(2001.7.6 『東京神学大学報』(No.215)の折り込みに掲載)