★幸せを呼ぶ馬の靴 蹄鉄(HORSESHOE)

蹄鉄は、2500年程昔、欧州の一地方で発明され、それ以来馬の蹄を保護する 大切な装具として、その構造や形をほとんど変えないまま現代に至っています。 未だ自動車というものが存在しなかった時代、馬は運搬や動力源として主役の座を 務め、人々の生活に絶対的に必要な家畜として、他の家畜に比べてはるかに大切に 扱われていました。「蹄なければ馬なし」と古来から言われるように、そんな馬の 生命線とも言える蹄を守る蹄鉄は、馬の大切さとあいまって、人々の注目を集めて きたのでしょう。その為、日本ではあまり認識はないが、西洋では今でも蹄鉄を 「魔除け」や「幸せを呼ぶお守り」としてみなす風潮と伝承が残されているのです。 海外の家の門などに、蹄鉄が飾られているは、こういう事からだったのでしょう。
★HORSESHOE STORY1 悪魔が最も恐れた蹄鉄(イギリス)

ある時、悪魔が1人の"BLACKSMITH"(鍛冶屋)を訪ね、悪さしようとしたが、その"BLACKSMITH"は たまたま作っていた蹄鉄の中に、その悪魔を封じ込め難を逃れた。それ以来、悪魔は蹄鉄を恐れ、近寄ら なくなったという.....。人々は蹄鉄を家の門口に掲げて、悪魔除けのお守りとして珍重するようになった。

*鍛冶屋は、硬い鉄を自由自在に扱い、生活に必要な道具や武器を作り出した事から、冶金学の知識が貧し い当時の一般人からは、不思議な術を使う「魔法使い」のように思われていた。又、蹄鉄を取り付ける事で それまでに比べて馬の運動能力が飛躍的に伸びたことからも、そのテクニックを持つ鍛冶屋は人々から 尊敬を集めたという。このような時代的な背景事情が、このような蹄鉄の魔除け信仰を生み出している。
★HORSESHOE STORY2 王様一族の贅沢な蹄鉄 (ギリシャ)

古代ギリシャ時代、王侯貴族は自分の馬にゴールドやシルバーを贅沢にあしらった特別な蹄鉄を履かせて
おり、これが蹄から脱落した時には、拾った者の所有権になった事から、馬の蹄鉄(ホースシュー)を 拾うと幸せが訪れるという伝承が生まれた。

*当時は、釘で打ち付ける現代の蹄鉄と違って、サンダル型の靴をヒモで蹄に縛り付けていたため、それが 脱落する可能性が高かった事と、王侯貴族は脱落した蹄鉄を拾う事を目当てに自分の馬の後をぞろぞろ着いて くる人々を増やし、自らの威徳をアピールする事に利用した事などが、このてのエピソードの背景にある。

 尚、蹄鉄を飾る場合、蹄鉄がU字型をしている事から、呼び込んだ福が逃げずに溜まる事を願って、
上記図のように向けることが定例となっています。


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