道徳教育関連の文献案内


このページは書き足していきますので、永遠に構築中です。

文献案内

●ここでは、道徳教育に関連する書物を紹介します。日本語で読めて、かつ、入手可能なものを中心に紹介します。
●選択の基準は、できるだけ広くまんべんなくとは思っていますが、林個人の趣味に影響されている可能性は否定できません。
●コメントもできるだけ客観的にとは思っているのですが、独断と偏見が混ざり込んでいる可能性はおおいにあります。
●いずれ、すべての書物に簡単なコメントをつける予定です。
最終訂正日:2002.7.14

目次
(五十音順、ただし検査関連は最後にあります)
インカルケーション関連価値明確化関連グループ・エンカウンター関連ケアリング関連構造化方式関連ジレンマ授業関連再現構成法関連宗教教育関連(特定宗教に偏らない)総合単元的道徳学習関連テキスト関連統合的プログラム関連認知発達論関連ロール・プレイング関連検査関連


インカルケーション関連

インカルケーションとは「教え込み」という意味です。皆さんは「民主的な観点からそんなことは許されない」とお考えになるでしょうか。しかし、教育の営みはどこかで「教える」、「伝達する」という営みを含まざるを得ないのではないでしょうか。ならば、道徳教育においても、教えられる道徳的価値について十分に吟味し、児童生徒の自主性を尊重しながら、「教え込み」を行う必要があるのではないでしょうか。インカルケーションは、同じく「教え込み」と訳されるインドクトリネーションではありません。ただやみくもに、たとえば国家にとって都合のよい価値だけを教え込むことではありません。

●デュルケム(麻生・山村訳)1964『道徳教育論』1,2,明治図書
道徳を社会的事実としてとらえる社会学者デュルケムの道徳教育論。インカルケーションの古典であるばかりでなく、道徳教育研究の古典といってよい。

●麻生誠・原田彰・宮島喬1978『デュルケム道徳教育論入門』有斐閣
上記の『道徳教育論』の解説書

●作田啓一1983『デュルケム』(人類の知的遺産57)講談社
デュルケムの生涯と主要著作がわかる。

●ウィリアム・ベネット(大地訳)1997『魔法の糸』実務教育出版
アメリカでベストセラーになった『The Book of Virtues』の抄訳。抄訳とはいっても670ページもある。内容は道徳的寓話・説話の寄せ集め。こんな本がベストセラーになるなんて!


価値明確化関連

●シドニイ B.サイモン1989『教師業ワークブック:価値明確化による自己発見の旅』黎明書房
31の方略(ワークシート)が紹介されている。1日1方略、1カ月で終えられるようになっている。「教師業ワークブック」ではあるが、ほとんどの方略は、少し内容を変えるだけで小中学校の道徳の授業でも使える。

●ラス、ハーミン、サイモン(共著)1991『道徳教育の革新:教師のための「価値の明確化」の理論と実践』ぎょうせい

●諸富祥彦1997『道徳授業の革新:「価値の明確化」で生きる力を育てる』明治図書
「価値の明確化」の授業をA型、B型の2つに分けている。


グループ・エンカウンター関連

●国分康孝(監修)、岡田弘(編)1996『エンカウンターで学級が変わる:グループ体験を生かした楽しい学級づくり(小学校編)』図書文化

●国分康孝(監修)、片野智治1996『エンカウンターで学級が変わる:グループ体験を生かしたふれあいの学級づくり(中学校編)』図書文化

●国分康孝(監修)、国分久子・岡田弘(編)1997『エンカウンターで学級が変わるPart2(小学校編)』図書文化

●国分康孝(監修)、国分久子・片野智治1997『エンカウンターで学級が変わるPart2(中学校編)』図書文化

●諸富祥彦1996『カウンセラーが語るこころの教育の進め方』教育開発研究所


ケアリング関連

ケアリング論に依拠した道徳教育論はまだまだ試行錯誤の段階にあります。ここに示したのは、今後、ケアリング道徳教育論を構築していく上で役立つと思われるものです。

●ミルトン・メイヤロフ1989『ケアの本質:生きることの意味』ゆみる出版

●水野治太郎1991『ケアの人間学』ゆみる出版

●キャロル・レッパネン・モンゴメリー1995『ケアリングの理論と実践』医学書院

●シスター・M・シモーヌ・ローチ1996『アクト・オブ・ケアリング:ケアする存在としての人間』ゆみる出版

●ネル・ノディングズ1997『ケアリング:倫理と道徳の教育−女性の観点から』晃洋書房

●石川道夫・田辺稔(編著)1998『ケアリングのかたち』中央法規

●成山文夫・石川道夫(編著)2000『家族・育み・ケアリング』北樹出版

●林泰成(編著)2000『ケアする心を育む道徳教育』北大路書房

●ヘルガ・クーゼ2000『ケアリング:看護婦・女性・倫理』メディカ出版

●野口裕二2002『物語としてのケア:ナラティヴ・アプローチの世界へ』医学書院
ナラティヴ・セラピーは、臨床心理学というよりは臨床社会学的セラピーである。本書は、そのセラピーの解説が中心であり、ナラティヴ・セラピーとして位置づけられる3つのアプローチが整理されていてわかりやすい。ただし、ケア論として読むと、第10章でしかケアの問題はとりあげられておらず、ちょっと寂しい。


構造化方式関連

●金井肇1996『道徳授業の基本構造理論』明治図書
構造化方式は金井肇氏の唱える道徳授業の方法である。その基本的な考え方はこの本を読めばわかる。

●金井肇(編著)1998『生き生きした構造化方式の道徳授業:小学校』明治図書

●金井肇(編著)1998『生き生きした構造化方式の道徳授業:中学校』明治図書


ジレンマ授業関連

【コールバーグ理論に関する図書】

●永野重史(編)1985『道徳性の発達と教育:コールバーグ理論の展開』新曜社
コールバーグの論文「「である」から「べきである」へ」が収録されている。

●コールバーグ1987『道徳性の形成:認知発達的アプローチ』新曜社
認知発達的アプローチの立場からの道徳的社会化に関する考察。

●コールバーグ1992『道徳性の発達段階:コールバーグ理論をめぐる論争への回答』
コールバーグ批判に対する回答が示されている。

●コールバーグ1987『道徳性の発達と道徳教育:コールバーグ理論の展開と実践』広池学園出版部
コールバーグの日本での3つの講演とアン・ヒギンズの講義「アメリカの道徳教育」の翻訳。後者はアメリカの道徳教育の現状を知るのに便利である。その後のアメリカの道徳教育の展開についてはヒギンズ「アメリカ道徳教育研究〜今日の一展望〜」(杉浦宏編『アメリカ教育哲学の動向』晃洋書房、1995年、所収)を参照されたい。

●佐野安仁・吉田謙二(編著)1993『コールバーグ理論の基底』世界思想社
コールバーグの道徳性発達理論の哲学的基底的な部分に焦点を当てて、論じている。コールバーグについては、我が国では心理学系・教育実践系の研究が多いが、本書は、唯一の哲学系・教育哲学系の「本」といってよいであろう(哲学系の「論文」は他にもある)。

●山岸明子1995『道徳性の発達に関する実証的・理論的研究』風間書房
学位論文に手を加えたもの。とてもすぐれた書物だが、値段がちょっと高い(1万5千円)。

【モラルジレンマ授業に関する図書】

●荒木紀幸(編著)1988『道徳教育はこうすればおもしろい:コールバーグ理論とその実践』北大路書房

●荒木紀幸1990『ジレンマ資料による遣徳授業改革:コールバーグ理論からの提案』明治図書

●荒木紀幸(編著)1990『モラルジレンマ資料と授業展開小学校編』明治図書

●荒木紀幸(編著)1990『モラルジレンマ資料と授業展開中学校編』明治図書

●内藤俊史1991『子ども・社会・文化:道徳的なこころの発達』サイエンス社

●佐野安仁・荒木紀幸(編著)1990『道徳教育の視点』晃洋書房

●荒木紀幸(編著)1993『資料を生かしたジレンマ授業の方法』明治図書

●荒木紀幸(編著)1993『道徳性の測定と評価を生かした新道徳教育』明治図書

●徳永悦郎1995『ジレンマ学習による道徳授業づくり』明治図書

●荒木紀幸1996「モラルジレンマの手法を工夫する」、押谷由夫編『生きぬく力を育てる心の教育』教育開発研究所、164−167.

●荒木紀幸1996「第6章道徳教育」、日本児童研究所(編)『児童心理学の進歩−九九六年度版−』金子書房、129−156.

●荒木紀幸1996『モラルジレンマ授業の教材開発』明治図書

●荒木紀幸(編著)1997『続・道徳教育はこうすれぱおもしろい−コールバーグ理論の発展とモラルジレンマ授業−』北大路書房

●櫻井育夫1997『道徳的判断力をどう高めるか:コールバーグ理論における道徳教育の展開』北大路書房
理論編と実践編からなる。ここで唱えられているジレンマ授業は、兵庫教育大学方式のジレンマ授業とは違っている。一番大きな違いは、最後に「自分が主人公であったらどうするか」と問う点である。通常、ジレンマ授業では「主人公はどうすべきか」と問う。というのは、当為を問題にしようとするからである。「自分が主人公であったらどうするか」という問いでは、当為ではなく、自分の欲求が全面に出てくる可能性がある。「道徳的にはかくかくしかじかに行動すべきだけど、でも自分だったらそのようには行動せず、こうする」という具合にである。自分事として考えさせようという著者の意図は理解できるが、道徳的価値葛藤ではなく、心理的葛藤にとどまってしまうということはないだろうか。

●荒木紀幸2002『モラルジレンマによる討論の授業:小学校編』明治図書

●荒木紀幸2002『モラルジレンマによる討論の授業:中学校編』明治図書

●ジョセフ・ライマー,リチャード・H. ハーシュ,ダイアナ・P. パオリット2004『道徳性を発達させる授業のコツ:ピアジェとコールバーグの到達点 』北大路書房

●荒木紀幸2005『モラルジレンマ資料と授業展開小学校編〈第2集〉』明治図書

●荒木紀幸2005『モラルジレンマ資料と授業展開中学校編〈第2集〉』明治図書

【モラルジレンマ授業のビデオ】

●荒木紀幸・畑耕二1995『ビデオで授業レッズン・モラルジレンマの授業−まほう使いのブレゼント・小学2年−』明治図書

●荒木紀幸・畑耕二1995『ビデオで授業レッスン・モラルジレンマの授業−ぜったいひみつ・小学4年−』明治図書

●荒木紀幸・徳永悦郎1995『ビデオで授業レッスン・モラルジレンマの授業−サッカー大会・小学6年−』明治図書

●荒木紀幸・鈴木憲1995『ビデオで授業レッスン・モラルジレンマの授業−この子のために・中学1年−』明治図書


再現構成法関連

●八木下陽子・金山京子・熊代雅野1998『再現構成法による道徳授業』明治図書


宗教教育関連

特定宗教に偏らないようにしようと思っていますが、注意してご覧ください。

●山口和孝1993『新教育課程と道徳教育-「国際化時代」と日本人のアイデンティティー-』エイデル研究所
主に天皇制と道徳教育の問題が論じられている。他にも禅を取り入れた道徳教育の問題、エホバの証人に関する事例の検討など、道徳教育論の中でタブー視されている(と考えているのは私だけか?)ことがらが論じられていて興味深い。

●山口和孝1998『子どもの教育と宗教』青木書店
これは、山口和孝氏の本なので購入した。それくらい前著が面白かった。宗教と道徳教育の関連の問題は、たとえ最終的にはそれを否定するにしても検討する必要があろう。氏の論考にはこれからも注目していきたい。

●佐野安仁1996『フェニックスの道徳論と教育』晃洋書房
フェニックスはアメリカの教育哲学者。彼の教育論には宗教的側面が含まれている。その点については下記の書物もご参照いただきたい。

●P.H.フェニックス1987『宗教教育の哲学-教育と神礼拝-』晃洋書房


総合単元的道徳学習関連

●押谷由夫1995『総合単元的道徳学習論の提唱』ぶんけい

●笹田博之(編著)1995『総合単元的道徳学習の実践』明治図書

●押谷由夫・愛知県豊田市立若林東小学校1996『子が生きる総合単元的な道徳学習論の発展』明治図書


テキスト関連

大学・短大の教職科目「道徳教育に関する科目」(新教育職員免許法では「道徳の指導法」:ただし大学によって科目名称は異なる)でテキストとして使用できる本。著者・編者がテキストとして書いたかどうかではなく、少なくとも、(1)道徳教育の歴史、(2)学習指導要領、(3)具体的な指導法、の3点が取り上げられているかどうかで判断した。

●佐野安仁・荒木紀幸(編著)2000『(改訂版)道徳教育の視点』晃洋書房
前半がテキストとして編集されており、後半は筆者らの専門とするいくつかの視点から道徳教育が論じられている。改訂版では、学習指導要領の解説が、新学習指導要領に合わせて書き直された。

●小寺正一・藤永芳純(編著)1997『道徳教育を学ぶ人のために』世界思想社



統合的プログラム関連

●伊藤啓一1991『統合的道徳教育の創造-現代アメリカの道徳教育に学ぶ-』明治図書
アメリカの道徳教育の3つの潮流を統合して新しいアプローチを提案している。

●伊藤啓一(編著)1996『「生きる力」をつける道徳授業-小学校統合的プログラムの実践-』明治図書

●伊藤啓一(編著)1996『「生きる力」をつける道徳授業-中学校統合的プログラムの実践-』明治図書

●伊藤啓一1998『「思いやり」の心をはぐくむ道徳授業-小学校における統合的プログラムの展開-』明治図書

●伊藤啓一1998『「思いやり」の心をはぐくむ道徳授業-小学校における統合的プログラムの展開-』明治図書

●伊藤啓一・長崎県奥浦小学校2000『学校ぐるみで取り組む小学校統合的プログラム』明治図書


認知発達論関連

【ピアジェに関する図書】

●ピアジェ1977『児童道徳判断の発達』(臨床児童心理学3)同文書院
古い本なのでたぶん手に入らない。しかし、認知発達論的道徳教育論の出発点となった重要な書物である。

【コールバーグに関する図書】

「ジレンマ授業関連」の項をご覧ください。

【その他の認知発達論に関する図書】

●日本道徳性心理学研究会(編著)1992『道徳性心理学:道徳教育のための心理学』北大路書房
ピアジェやコールバーグをはじめ、道徳性に関する研究を行った(ている)心理学者の学説が紹介されている。


ロール・プレイング関連

本を読んでもなかなかわかりにくいので、実際に研修会などに参加してみることをお勧めします。欲を言えば、研修会によってRPの捉え方はさまざまなので、複数の研修会に参加されることをお勧めします。(平成14年度に、上越教育大学の公開講座で「教師のためのロールプレイング演習」という講座を開講する予定です(詳細は未定)。私(林泰成)が担当します。お近くの方はどうぞ。)

●台利夫1982『臨床心理劇入門』ブレーン出版

●外林大作(監修)、千葉ロール・プレイング研究会(著)1981『教育の現場におけるロール・プレイングの手引き』誠信書房
注文したら絶版と言われたが、東京駅裏の八重洲ブックセンターの書架に並んでいた(2001.5.20のことです。)

●江橋照雄(編著)1992『授業が生きる役割演技』明治図書

●金子賢(編著)1992『教師のためのロールプレイング入門』学事出版

●江橋照雄(編著)1996『役割演技ハンドブック』明治図書


検査関連

この項で紹介するのは書物ではありません。道徳性に関連する検査です。

●古畑和孝「HEART(ハート)」東京心理

●荒木紀幸1988「役割取得検査」トーヨーフィジカル
(1)役割取得検査図版一式 (2)「木登り課題」についてのお話しテープ (3)検査記録用紙 (4)役割取得検査マニュアル

●荒木紀幸・フェアネスマインド研究会1997「フエアネス・マインド−小学生版道徳性発達診断検査−」正進社
中学校版もすでに市販されています。



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