HOW TO 3DCG

3DCG作成入門



Presented By Tetsuya Tsukada


TVや映画、ゲームなどで一般の人々も目にすることが多い華麗な映像メディア
であるCG(3D.Computer.Graphics)は一体どうやって作られているのか?
このような興味を持たれた人も多いと思う。そこで簡単にCGの概要を説明
しておこうと思う。


1、3DCG作成の流れ

一般にCG映像を作成.販売している会社をCGプロダクションと言います。
筆者はCGプロダクションで働いてた経験もあり、一応作成の流れの下敷き
になっているこの現場での話が元になってます。会社や国によって、例えば
CGそのものを作成する人のことを、CGデザイナーとかCGアーチスト、CG
プログラマー、CGオペレーター等、呼び名が違うのが現状です。
同じように作成プロセスも会社や状況によって違いますので、以下の話は
参考程度に読んでいただければ幸いです。


2、原案から絵コンテまで

コンピューターとCGプログラム(ソフト)が用意出来ればすぐにでもCG作成
可能になりますが、何より大切なのは 原案”何をどう作るか?”という最初
のアイデアです。会社での仕事の場合上から何をどういう風に作れ、と細かい
指示があるのが普通です。コンピューターに向かう前に例えばCGキャラクター
の動きはどう、色や形はこう、とか細かく考えておいたほうが後の作業は
スムーズに進みます。ただデザイナーが”作りたいもの”=”アイデア”が無け
ればコンピューター&CGシステムも、ただの白い箱になってしまいます。
一番大切なのは、やはり原案であり、原案がきまればそれをラフスケッチや
絵コンテ(ストーリーボード)を作成してより具体的にします。


3、モデリング

さてコンピューターを起動しOSを立ち上げて、CGソフトを動かします。
最初にする作業はモデリング(Modeling)です。モデリングとはCGの世界に
データを入力してモデル(模型)を作成する事です。この作業はCGソフトの
モデラーというプログラムで行えます。モデラーは独立している場合か、他の
機能を持ったプログラムと一体の場合があります。データの入力法は、厳密
なモデルを作成する場合は石膏等で模型を作成してデジタイザーという
機械を使用します。他には”打ち込み”といわれるデータをキーボードで
入力させる方法。モデラーにむかってマウスを使用してインタラクティブに
モデルを直接に作成する方法等があります。一般に作成したモデルの事
をオブジェクト(Object)と呼びます。


最も基本的なモデリングの作業は一枚のポリゴン(Polygon)を作成する事
です。ポリゴンとは”完全に平たく、無限に薄い多角形”の事です。3DCG
ではCG空間のどの場所にでもポイント(Point)を打つ事が出来ます。
ポイントとは3DCGの場合は”位置”を意味します。ポイントを異なる場所で
3ポイント以上とって領域を結ぶとポリゴンを作成する事が出来ます。


ところでモデラーには基本的なモデル=オブジェクト(Object)は最初
から用意されています。おもなオブジェクトはボール(球体)、ボックス
(立方体)、コーン(円錐体)、シリンダー(円柱)等です。またツールと呼ば
れる様々なコマンドがあって、これを使用する事によってデザイナーの
要求する形に加工する事が可能になります。


また普段ゲームや映画で目にするCGのほとんどはサーフェイスモデル
(Surface Model)です。サーフェイスとは”表面だけ。中身が無い”という
意味です。外側の表面(皮)だけを3角形や4角形の小さなポリゴンを
複数 張り巡らして構成しています。それでもソリッドモデリング(Solid
Modeling)というシステムを採用すると、中身が詰まった(体積をもった)
物体のように扱うことが可能になります。


4、マテリアル作成

マテリアル(Material)とは3DCGでは”質感”を意味します。まず基本的な
質感設定はディフューズ(Diffuse)、スペキュラー(Specular)、トランス(trans)
です。ディフューズの質感は”光沢の無い、マットな、柔らかい感じ”です。
逆にスペキュラーは”光沢のある、テカテカした、硬い感じ”です。反射した
光が直接に視点に到達するポイントがハイライトになります。またリフレクト
(Reflect)に値をつけてやると鏡面反射(写り込み)を表現することが可能です。
トランスは透明の質感を作成する時に使用します。またリフラクト(Refract)
に値をつけてやると屈折を表現することが出来ます。


3DCGの画像の品質に大きく影響するのがシェーディング.モデル
(Shading Model)です。シェーディングとは”陰影付け”を意味します。おもな
シェーディング.モデルはフラットシェーディング(Flat Shading)、グーロー
シェーディング(Gourand Shading)、フォーンシェーディング(Phong Shading)
等があります。この中で最も美しいのがフォーンですがレンダリング(計算描画)
に時間がかかるのが弱点です。


さらに高度なマテリアル作成のテクニックとしてマッピング(Mapping)があります。
マッピングによって2Dペイントで描いた模様や取り込んだ写真を、オブジェクト
の表面に貼り付けることが出来ます。


5、ライティング設定

ライティング(Lighting)とは照明を設定する事です。最初に設定しなくてもデフォルト
(標準設定)であらかじめ照明が設定されている事が多いです。最もメインになる
照明はディスタントライト(Distant Light)です。これは太陽の光だと思って下さい。
位置と関係無しに平行に照らします。またポイントライト(Point Light)は”豆電球”
みたいな性質の光です。ポイントライトの置かれた位置から周囲を明るくします。
そしてスポットライト(Spot Light)は置かれた位置から円錐状に明るく照らします。
やや特殊な性質の照明として 環境光(Ambient Light)が挙げられます。これは
シーン全体を明るくする間接光です。環境光が全く無いと 光のあたっていない
影の部分が真っ黒になってしまいます。しかし環境光の値が大きすぎてもシーン
全体が白っぽくなってしまいます。


6、モーション作成

モーション(Motion)とは”動き(アニメーション)”の事です。ここではオブジェクト
のモーションを作成します。通常 1秒間の動きを作る為にフィルムでは24フレーム
ビデオでは30フレーム必要になります。フレームとは一枚一枚の静止画の事
です。モーション作成の基礎となる概念は”キーフレーム.アニメーション
(Keyframe Animation)です。キーフレームとは”動きの節目にあたる、重要な
フレーム”を意味します。デザイナーが最初にキーフレームを作成すれば、あとは
”動画中割り=イン.ビトウィーン(In-Between)"の作業をコンピューターにまかす
事が出来ます。キーフレームの間を補間する方法は、おおまかに2種類あり
線形補間法(Linear interpolation)と非線形補間法(Non-Linear interpolation)
です。前者は直線割り、後者は曲線割りです。曲線割りの代表的なものはスプライン
曲線(Spline)とベジェ曲線(Bezier)があります。デザイナーは補間法の選択、および
曲線のカーブのコントロール等で動きを”演出”する事ができます。


さて3DCGの架空の空間は最初は光も地面もない、からっぽの宇宙空間
みたいな状態です。デザイナーが作成したキャラクターや建物等を配置したい
場所に置けるのはどうして出来るのか? それは座標系(Coordinate System)
というシステムを採用しているからです。まず絶対に動かない原点を決定
して、その点からX軸(左右の動き)、Y軸(上下の動き)、Z軸(奥行きの動き)
が伸びています。デザイナーが(X?、Y?、Z?)と入力すれば、その場所に
オブジェクトを移動させる事が出来ます。


7、レンダリング

オブジェクトを作成し、マテリアル(質感)をつけ、ライティングを設定し、
モーション(動き)を作ればあとはレンダリング(Rendering)するだけです。
レンダリングとは”計算描画”という意味で、レンダリング用のボタンを押せ
ば自動的にコンピューターが画像を計算してくれます。レンダリングする
際にデザイナーがプログラムを選択出来る仕様になってる場合があります。
代表的なレンダリング.プログラムはレイ.トレーシング(Ray Tracing)注1,
Z-バッファ(Z-Buffer),ラジオシティ(Radio Sity)等が挙げられます。


8、レコーディング

レンダリングは計算描画だけですので、計算して作った画像をセーブ(保存)
する必要があります。レンダリングをする時に同時にレコーディングの設定を
しておけば自動的に画像をセーブする事が出来ます。


3DCGと言っても最終的には2Dになってしまいます。CGの3D空間に架空
の世界を構築してカメラ(視点)から覗いた世界がレンダリングする時にCRT
モニターにあたるスクリーン(2D)でクリッピング(Clipping)されて現れます。



注1)レイ.トレーシング(Ray Tracing)
光線追跡法、または視線逆探索法とも呼ばれる方法。光の物理的な性質を
利用してCRTスクリーン上の各画素が通る視線ごとに、これと最初に交わる
物体(最も手前)を探索(トレース)していく。したがって膨大な計算を必要
とする。1967年にAppelによって提案された。この方法の利点は表示対象
の自由度が大きく、多面体をはじめ物体形状すべてに対して適用でき煙や
波などの自然現象からアンチエリアシング、モーションブラーまで表現可能
な事。鏡面反射(写り込み)、透過、屈折などの光の表現が可能な事などで
ある。したがって非常に写実的(リアル)な画像を得る事ができる。
ハリウッド映画などで見られる華麗なCG映像は、まずレイ.トレーシングが
使用されていると思ってよい。





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