実践ブレーンストーミング

束縛のない自由な思索、発想の旅へのご案内

アイデアを出す方法として有名なブレーンストーミングという手法がある。

これは次の4つのルールにしたがって意見を自由に発言するものである。

1.他人の発言を批判しない
2.自由奔放な発言を歓迎する。夢物語でもよい。
3.質より量を求める。
4.他人のアイデアに便乗する。


であり、逆にブレーンストーミングにおける禁句とは

実現しない。空想的だ。くだらない。わかりきっている。
コストがかかる。意味がない。以前やって失敗した。


などと発言することである。
ブレーンストーミングは日本では、まだあまり定着していない手法である。
一般的にインテリといわれる人においてすら、この手法になじみがなく、実際にやったこともないので、過去の経験と学習によって得られた固定観念から判断し て批判的に禁句を連発してしまう傾向がある。そのような方は、他人の発想の邪魔しないように特に注意が必要なのである。

当Web Pageの掲示板
電子掲示板こんなロボットがほしい

は実はブレーンストーミング手法によく合致する掲示板である。
インターネットをつかって空想上の、あるいはあればよいと思う夢のロボットを自由に掲載する掲示板で、 ロボットのテーマやお題目をあえて限定したりせず、 他人の発言を批判しない。実現するしないは別にして、夢物語のような自由奔放な発言を歓迎している。
最近投稿数が減少しているが、結果的に、私の投稿も含めるとかなりの記事が集まった。(ログファイルを参照)
[こんなロボットがほしいの分析]4年ほどで人々が求める理想のロボット像が見えてきた。人々は鉄腕アトムやスーパーマンのような特 別、強力なパワーを持つ ロボットを求めているわけでないことがわかってきた。
逆に暖かい心、思いやり、気配りといった人間的な心を持った人間のパートナータイプのロボットを求める声が 強いように思われた。未来において実用的なホームロボットが出現するとなると心を持ったものが必要になってくるのだろう。 人はなぜロボットを作りたがるのだろうか?
この興味深いテーマについても掲示板の記事を御覧になられて、あるいは掲示板に 投稿されてみて各自、解答を探してみていただきたい。
また、さらに電子掲示板こんなロボットがほしいのロボットの記事を集約したものが「サイバーキャットロボコム君の大冒険」である。
これはサイバー空間を自由奔放に旅する猫がさまざまな夢のロボットと遭遇するという話である。物語に登場するロボット、スクリプトの原案のほとんどは掲示 板に私が書いた記事をベースにした。今後もつづきの話を書く予定である。

宇宙戦艦ヤマトという大ヒットアニメ映画にしても「戦艦が宇宙を飛ぶくらいの発想の飛躍がないとだめですよ。」という脚本家の意見が元に なっている。
ブレーンストーミングでは自由に発言を進めて、あとから意見を集約すればよいのである。

あなたもちっぽけな固定観念を捨てて、いますぐ自由な発想の旅に出ようではないか。(2000年6月27日掲載)


【ブレーンストーミングの作動原理】
 経済活動には、好景気と不景気がある。好景気の時には経済活動が活発となるが、不景気のときはその逆で経済活動が縮小して行く。
不景気を改善する方法として、新規事業開始の規制を緩和したり、新しい事業を始める起業家に対する税制面での優遇処置を導入するなどが考えられる。
 不活発な状態を改善させるカギとなるのは、ブレーキとなる抑制因子を排除するこ とである。
 議論においても、活発と閑散とした状態がある。閑散とした会議の場では、ただ議題が、プログラムどおり一方的に進行して、誰も発言しないことが多い。
ブレーンストーミングでは、相手を批判することなど抑制因子を排除することによって、だれもが自由に発言しやすい雰囲気を作り、
全体の発言数を増大させ、全員参加型の議論を行う。
 この方式では各発言の方向がバラバラであるため最終的にどのような結論を導き出すか、整理する作業が必要である。
 ブレーンストーミングは新しいテーマの選択などに有効な手法である。

【参考 ブレーンストーミングと宇宙戦艦ヤマト】
 藤川桂介著 「アニメ・特撮ヒーロー誕生のとき」によるとTVアニメーションプロデューサーのN氏がアニメの企画を作る前にSF評論家を集めてSFアニ メのアイデア出しを行っている。
N氏がブレーンストーミングの手法について知っていたかどうか定かでないが、そのやり方はブレーンストーミングそのものであった。
まず、SF評論家に各自自由にアイデアを言ってもらい、アイデアを出してもらったあとで脚本家の藤川氏と二人で意見集約を行っている。
その中で戦艦大和を空に飛ばすという結論に到達しているのである。
 最初のSF評論家のアイデアはブレーンストーミングの禁句「くだらない」に該当するようなものであったようで、一見ムダのようにも思われるが、
実は、ブレーンストーミングを進めていくにしたがって、脳の働きが活性化され、考えが研ぎ澄まされてゆくのである。

藤川桂介著 「アニメ・特撮ヒーロー誕生のとき」より
 「ワンサくん」でアニメーション企画を手がけたN氏から連絡がきました。新しいアニメを企画したいので、協力して欲しいということでした。
 −途中略ー
  彼は、企画を作る前に、SF評論家を呼んで話を聞けばいいアイディアが浮かぶかもしれないと言うのです。
 アニメーション界でこんな下準備をして番組を作るところは、ほとんどありません。通常は人気マンガを探してきて、それを映像化するというのが常識でした から、こんな形で企画を作ろうとする意気込みにはひかれました。もしかしたらこれまでにないものが生み出されるかもしれない、といった期待感がふくらんで きました。
 −途中略ー
まだ事務員もいない神田の事務所にはSF評論家が数名いて、テーブルの向こう側に並んでいました。N氏とぼくはこちら側に座って、レクチャーを聞くことに しました。
 二時間ぐらいは聞いたでしょうか。いったん評論家には引き取っていただき、N氏とぼくだけ残りました。彼の第一声は、
「どうしようか?」
 でした。気に入らなかったようです。もちろんぼくも、みなパターンにはまったものばかりで、創作意欲をかき立てられるようなアイディアなかったように思 いました。そこで二人きりで、企画について話し始めたのです。
 彼は軍艦を使ったものをやりたいと言いました。
「しかし−」
 どう考えても海上でスピーディな話はできそうもありません。
 そこでぼくはすぐに
「どうせ軍艦を出すなら、空を飛んでしまうような発想をしないと、面白くありませんよ」
 発想を飛躍させることを提案したのです。
「いこう、いこう。それでいきましょう」
 N氏は目を輝かせました。結局、「戦艦大和」を空に飛ばしてしまおうということになったのです。
老いも若きも日本中を沸き立たせることになった「宇宙戦艦ヤマト」は、こんな会話から誕生したのです。

(アニメ・特撮ヒーロー誕生のとき 藤川桂介著、ネスコ/文芸春秋刊 1998年)

−商業目的ではなく、純粋な学術研究目的で現在絶版の文献の引用を行っております。−
 


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