ある日、ロボコム君が国境へ通じる一本の道を東へ向かって歩いていると
何千体ものロボットの大群が西へ向かって移動を開始していました。
そのロボットの行列の長いこと数キロメートルにもおよび、年式も型式も異なるさまざまなロボットが入りまじっています。
ロボットたちは配属されているそれぞれの工場やオフィスの職場を突然一斉に放棄してしまったようです。
ロボコム君は行進に参加している一台のロボットに尋ねました。
「君たち、いったいどうしたんだ。何が起こったんだ」
「ワカラナイ。ワカラナイ」
ロボットはそう答えました。
何をきかれても「ワカラナイ」を繰り返すだけです。
「どうしたんだ。君たち、何か不満でもあるのか」
「不満ハナイ。ロボットダカラ」
ロボットたちは休むこともなく、いつまでもどこまでも行進を続けます。
「君たち、これからどこへ行こうとしているんだ」
「遠イトコロ 遠イトコロ...」
「...」
「じゃあ、お元気で...」
ロボットたちは国境を越えて、遠い国へ行ってしまいました。