『カール・バルト著作集』目次一覧

2015.11.23更新(印が主な更新個所です。)

注: 論文集に収められた論文は、カール・クーピッシュ(宮田光雄、村松恵二訳)『カール・バルト』(新教出版社、1994)を参考に、次の記号を用いて原著年の後に記した。

A1"Das Wort Gottes und die Theologie," 1924.
A2"Die Theologie und die Kirche," 1928.
St"Eine Schweizer Stimme," 1945.
A3"Theologische Fragen und Antworten," 1957.
GWKarl Kupisch編, "der Götze wackelt. Zeitkritische Aufsätze, Reden und Briefe von 1930 bis 1960," 19611,19632.
AdTJ. Moltmann編, "Anfänge der dialektischen Theologie," 2 Teile, 1962/1963.

タイトル原著年と
収録論文集
訳 者他の邦訳

1.教義学論文集<上>、1968

キリスト教信仰と歴史1912登家勝也
人格的神に対する信仰1914蓮見和男

この二つの論文はバルトの「転向」以前のもので、「カントと若いシュライエルマッハーの中間あたりの立場」に立っている(「解説」より)。

聖書における問いと明察と展望1920,A1,AdT山本和
キリスト教宣教の危急と約束1922,A1大宮溥
神学の課題としての神の言葉1922,A1大宮溥

「神学の課題としての神の言葉」と、それに先だって語られた講演「キリスト宣教の困窮と約束」とは必読の文章である(加藤常昭『説教者カール・バルト』p.19)。

「バルト著作集に掲載されている両講演の翻訳はあまりにも問題が多い」(加藤常昭『愛の手紙・説教』p.86)。

アドルフ・フォン・ハルナックとの往復書簡1923,A3水垣渉

当代随一の碩学、学界の重鎮ハルナックが、十年もスイスの田舎牧師であった新進の神学者バルトに質問状を発する、このこと自体異常な雰囲気である(大木英夫「神学と諸科学の関係」、『偶然性と宗教』p.139)。

教会と神学1926,A2大宮溥
プロテスタント教会に対する問いとしての
ローマ・カトリシズム
1928,A2大宮溥
神学における運命と理念1929,A3大宮溥
礼典論1929蓮見和男
聖霊とキリスト教生活1930蓮見和男河出書房1960所収、新教新書1965。

2.教義学論文集<中>、1989

神学と現代人1930吉永正義菅円吉訳三笠書房1930
福音主義教会の危急1931,GW蓮見和男松尾相訳長崎書店1933。
神学的公理としての第一戒1933,A3吉永正義
神の意志とわれらの希望1933,A3菅円吉菅円吉訳三笠書房1930
神の言葉への奉仕1934山路基
自然と恩寵――カール・バルトとの対話のために
(E.ブルンナー)
1934吉永正義
ナイン!――エミール・ブルンナーに対する応え1934菅円吉
啓示・教会・神学1934,A3井上良雄石島三郎訳(聖研叢書2)聖書研究社1936、井上訳新教出版社1949、新教新書1960、井上訳『教会――活ける主の活ける教団』新教出版社1978所収
証人としてのキリスト者1934,A3井上良雄『啓示・教会・神学』新教出版社1949所収、河出書房1960所収、『教会――活ける主の活ける教団』新教出版社1978所収

『今日の神学的実存』叢書第12巻(1934)初出。

3.教義学論文集<下>、1997

神の恵みの選び1936蓮見和男菅円吉訳1940、松谷義範訳1941
教会の洗礼論1943宍戸達宍戸達訳1971
聖書の権威と意義1947山本和
教会――活ける主イエス・キリストの活ける教団(ゲマインデ)1947井上良雄『教会――活ける主の活ける教団』新教出版社1978所収
世界の無秩序と神の救済計画1948井上良雄
新しい人間の現実1949吉永正義成瀬治訳『ヒューマニズム』新教出版社1951所収
ルドルフ・ブルトマン――彼を理解するための、一つの試み1952小川圭治
キリストとアダム――ローマ五章による1954吉永正義小林謙一訳白水社1974。
神の人間性1956寺園善基井上良雄訳白水社1974、井上良雄訳『戦後神学論集』1989。

バルトの「過去三十六年を全面的にひっくり返すような衝撃的講演」(大木英夫『バルト』146頁)。

哲学と神学1960酒井修

4.神学史論文集、1999

今日の神学への未解決な問い――キリスト教の内的状況について1920吉永正義
ブルンナーのシュライエルマッハー論1924吉永正義
シュライエルマッハーの降誕祭1925吉永正義
ヴィルヘルム・ヘルマンにおける教義学的原理論1925吉永正義
ルードヴィッヒ・フォイエルバッハ1927井上良雄

『時の間』誌(1927)、後に『神学と教会』(1928)収録。

シュライエルマッハーからリッチュルに至る神学における神の言葉1928吉永正義
決断としての宗教改革1933吉永正義
ルター祭1933吉永正義
カルヴァン祭1936吉永正義
十九世紀の福音主義神学1957吉永正義
感謝と表敬――デンマークとの接触1963小川圭治
キルケゴールと神学者1963小川圭治小川圭治訳白水社1974

5.倫理学論文集、1986

近代神学と神の国の活動1909吉永正義
ジョン・モットとキリスト者学生運動1910吉永正義
過去と未来――ナウマンとブルームハルト1919,AdT吉永正義
現代における倫理学の問題1923,A1吉永正義
戒めの順守1927吉永正義
義認と聖化1927吉永正義松尾相訳長崎書店1932
福音と律法1935井上良雄菅円吉訳三笠書房1930、高橋詢訳長崎書店1942、井上訳新教出版社1952、新教新書1960、井上訳白水社1974
訣別1933,GW,AdT吉永正義菅円吉訳三笠書房1930
教会かグループか――国民教会、自由教会、告白教会1936吉永正義
教会と文化1926吉永正義松尾相訳長崎書店1934
福音と教養1938吉永正義劉栄増訳長崎書店1941
ヒューマニズム1950吉永正義成瀬治訳新教出版社1951

6.政治・社会問題論文集<上>、1969

イエス・キリストと社会的運動1911村上伸
社会の中のキリスト者1924,A1,AdT村上伸小川圭治訳白水社1974
今日の神学的実存1933雨宮栄一
今日の神学的実存の状況1956村上伸
ドイツ告白教会1934-1939,
1956
村上伸
告白的なドイツ福音主義教会の中にいるかつての教え子たちへ1956村上伸
ドイツ福音主義教会に対する戦い1956村上伸
義認と法1938,St井上良雄『教会と国家』新教出版社1954所収、河出書房1960所収
プラハのロマドカ教授への手紙1948,St雨宮栄一
オランダの「教会と平和」同盟婦人代表者への手紙1948,St雨宮栄一
デルクセン牧師への手紙から1948,St雨宮栄一
教会と今日の政治問題1948,St雨宮栄一
フランスへの手紙1948,St雨宮栄一
キリスト者の武器と武装1948,St雨宮栄一
今日の私たちの教会とスイス1948,St雨宮栄一
スイスからイギリスへの手紙1948,St雨宮栄一
人間の混乱と神の摂理によってスイスは支配される1948,St雨宮栄一
ドイツのキリスト者へのクリスマス・メッセージ1948,St雨宮栄一
ヨーロッパのプロテスタント教会
  ――その現在と未来
1948,St雨宮栄一
アメリカの教会人への手紙1948,St雨宮栄一
オランダへの手紙1948,St雨宮栄一
今日の時代におけるキリスト教教会の約束と責任1948,St雨宮栄一

7.政治・社会問題論文集<下>、1975

ドイツ人とわれわれ1948,St後藤哲夫
二つの往復書簡1948,St後藤哲夫
いかにしてドイツ人は健康になりうるか1948,St後藤哲夫
戦後の新建設のための精神的前提1948,St雨宮栄一
ブダペストでの討論1948森岡巌
「鉄のカーテン」の背後にある改革派教会1948雨宮栄一
一つの往復書簡
   どのようにこれを理解すべきか(ブルンナー)
   「今日」の神学的実存(ブルンナーへの回答)
1948雨宮栄一
ハンガリー改革派教会の友人へ1948雨宮栄一
東と西の間にある教会1949,GW森岡誠一新教出版社1951
恐れるな!1950,GW雨宮栄一
東ドイツのある牧師への手紙1958児島洋『共産主義世界における福音の宣教』(新教新書75)1963所収
キリスト者共同体と市民共同体1946蓮見和男『教会と国家』新教出版社1954所収、河出書房1960所収
国家秩序の転換の中にあるキリスト教会1948森岡巌『東と西の間にある教会』新教出版社1951所収、河出書房1960所収
信仰の一致における政治的決断1952雨宮栄一
ユダヤ人問題とそのキリスト教の応答1950,GW雨宮栄一
バルメン1952雨宮栄一
バルメンは、今日の私たちにとって何を意味するのか?1954,GW雨宮栄一
バルメン宣言第五項をめぐる対話1963雨宮栄一

8.知解を求める信仰、われ信ず、1983

知解を求める信仰――アンセルムスの神の存在の証明19311,
19582
吉永正義

「T 神学的なプログラム」で神学の必然性、可能性、諸条件、道、目標について。「U 神の存在証明」で証明の諸前提と『プロスロギオン』2-4章の注釈。

われ信ず――使徒信条に関する教義学の主要問題1935安積鋭二桑田秀延訳基督教思想叢書刊行会1936、角川書店1949。

1935年2-3月ユトレヒト大学での16回の講義。第1講「われは信ず」で教義学の主要問題を使徒信条と関連させて語る。16講の後、付録として「質問と答え」。

9.神認識と神奉仕、教会の信仰告白、キリスト教の教理、1971

神認識と神奉仕――スコットランド信条講解1938宍戸達

「神認識と神奉仕」の前に「宗教改革の教説による」と付いている。「神奉仕」とは礼拝のこと。1937-1938年のギフォード講演。冒頭に1560年の(第一)スコットランド信仰告白の全訳。第1講は自然神学について。その後、連続講解。「長く忘れられていたこの信条はバルトのギフォード講演で再び脚光を浴びた。バルトは第二次大戦中、繰り返しこの信条を読み慰めを得ていたと伝えられる」(永井修『改革教会信仰告白要覧』、p.59)。

教会の信仰告白――ジュネーヴ教会信仰問答による使徒信条講解1946久米博小平尚道訳新教出版社1953。

牧師たちに語ったジュネーヴ教会信仰問答第一部(問1〜110)の講解を速記録からまとめたもの。基本的に使徒信条の講解になっている。

キリスト教の教理――ハイデルベルク信仰問答による1948井上良雄井上訳新教出版社1954、新教新書1965。

1947年夏学期ボン大学での講義の速記録に手を加えたもの。「1.課題」で教理について、「2.ハイデルベルク信仰問答」でこの信仰問答と宗教改革の福音主義的認識について述べた後、問80までは解説付き、その後はライトザッツ(題詞、指導命題)のみ。訳は改訂されている。

10.教義学要綱、福音主義神学入門、1968

教義学要綱1947井上良雄井上訳新教出版社1951、新教セミナーブック1993。

1946年夏学期ボン大学での講義。『われ信ず』、『教会の信仰告白』に継ぐ三つ目の使徒信条講解。朝7時から講義をしたと書かれている。

福音主義神学入門1962加藤常昭加藤訳新教出版社1962。

11.十九世紀のプロテスタント神学・上、1971

1947佐藤敏夫
岩波哲男
高尾利数
小樋井滋

第一部 前史[上]。

12.十九世紀のプロテスタント神学・中、2006

19佐藤司郎
安酸敏眞
戸口日出夫
酒井修

第一部 前史[下]。ルソー、カント、ノバーリス、ヘーゲルら。

13.十九世紀のプロテスタント神学・下、2007

19安酸敏眞
佐藤貴史
濱崎雅孝

第二部 歴史。シュライエルマッハーからフォイエルバッハ、シュトラウス、ブルームハルトからリッチェルまで18人。

14.ローマ書、1967

ローマ書19296吉村善夫吉村訳角川書店上1952下1956、小川圭治、岩波哲男訳河出書房1968、小川岩波訳平凡社2001。

2004年12月に新教出版社創業60年記念で単行本として復刊。

15.死人の復活、ピリピ書注解、ローマ書新解、1981

死人の復活――第一コリント書15章についての大学の講義1924山本和広安孝夫訳『死人の甦り』復活社1952。

広安孝夫訳の「はしがき」によれば、1947年に翻訳権と版権を取得しようとしたが、わずか三日の差で山本和と角川書店に先取されてしまったとのこと。しかし、1952年平和条約発効と共に翻訳権に関するベルヌ条約も復活して出版できるようになったという。なお、この書に対するブルトマンの反論がある。「カール・バルト著『死人の復活』」(原著1926)(土屋博訳、『ブルトマン著作集11 神学論文集T』、新教出版社、1986、pp.48-78)。

ピリピ書注解1928山本和橋本鑑訳『ピリピ書講解』土肥書店1940。

橋本鑑訳『ピリピ書講解』は、副題が「悖れる人々の間に於ける神の子たち」で、1章27〜2章16の部分のみ。序言によれば、全訳出版の見込みが立てば原著者の許可を得ようとしていたところ、既に他者が翻訳権を取得してしまっていた。そのことがわかったとき、既にこの訳は印刷が終わっていた。しかし、この書の重要さは二種類の邦訳があっても許されるものだろうということで発行された。

ローマ書新解1956川名勇川名勇訳新教出版社1962。

1940-41年冬にバーゼルで行われた民衆大学の講義。訳は1956初版に依ったがミスプリントが多いので1959年第二版によって訂正した。

16.説教<上>、1967

17.説教<下>、1970

18.書簡・年譜・総索引(未刊)

「著作集の計画に当たられた先生方の逝去や、この間の出版事情の変化により、第18巻の刊行を断念せざるをえない状況となりました。」2012年1月13日付新教出版社のホームページより。