松井やよりさんのご冥福を心よりお祈りいたします。
松井さんは最後まで平和、正義、己のために闘い続けていました。
大勢の人が彼女から多くを受け継いでいます。
松井やよりさん(VAWW-NET Japan)トーク
女性への暴力と戦争に反対する
8・15集会 & サイレント・ウォーク
戦争と女性への暴力日本ネットワーク代表の松井と申します。
今、紹介ありましたように、2000年12月に女性国際戦犯法廷、これは日本軍性奴隷制、つまり「慰安婦」制度を裁くための民衆の法廷です。
そして今ここにいらっしゃるロラ・マシンもやはりこの法廷に参加されまして、私は彼女がこれまで日本の裁判所に何度正義を求めてもそれを拒否されてきた、そして、彼女が日本の裁判所で敗訴の判決を聞いたときに、涙を流しながら「このようなことでは自分の村へも帰ることができない」と嘆いていた様子を思い浮かべます。
しかし女性国際戦犯法廷で、誰がこの戦争の責任者であるか、「慰安婦」制度の責任者であるかが明らかにされたときに、ロラ・マシンは「初めてこの女性国際戦犯法廷が私たちに正義を与えてくれた」というふうに言ってくださったことが、非常に私たちにとって、加害国の女性にとっては、「こういうような法廷をやってよかったな」というふうに思います。
私が今、非常に感じるのは、今日はじめてウィメン・イン・ブラックを被害国の女性と、加害国の女性である私たちを一緒にやるということ、その意味が非常に深いと思います。
というのは、今パレスチナでものすごい流血がありますけれども、まさにイスラエルの女性たちがウィメン・イン・ブラックを始めて、それを繰り返して、反対したということですね。
同じように旧ユーゴの内戦の中で、セルビアやクロアチアや、お互いに殺し合っている女性たち、フェミニストたちがウィメン・イン・ブラックで、本当に反戦の声を挙げたということ、そのような大きな女性たちの運動につながるこのウィメン・イン・ブラックの行動だと思います。
特に今日は8月15日で、ちょうどテレビを観ていましたら、50何人もの日本の閣僚が靖国神社に参拝しています。これはどういうことかというと、かつての日本の侵略戦争を正当化していることである。
これが犯罪であるということを認めないで、これをもう一度繰り返す可能性があるという恐ろしいことだと思います。
本当に今、かつての戦争を正当化する右翼勢力が、力を増していて、私たちの女性国際戦犯法廷に対しても大変な妨害活動をしているという状況の中で、私たちはこのような右翼の勢力に対して、毅然として闘う必要があると思います。
しかし問題なのは、このような非常に戦争につながるような動きというものが、日本だけではなくて、今、グローバル化の中で、世界中に起こっているということですね。
私は先週、インドネシアのバリ島で、「ジェンダーとアイデンティティポリティクス」つまり宗教的原理主義や、あるいは、民族主義によってお互いを殺し合うような地域紛争がアジア各地で起こっていて、女性たちが凄まじい強かんの被害に遭っているという実態をあらためて知らされて、大変ショックを受けました。
そのような今現在起こっている戦争という暴力に対して、私たちは一緒に闘っていく必要があるんじゃないか、そしてそのような暴力の一番の責任者というのは、昨年のテロを口実にして世界的な軍事化を進めようとしているブッシュ大統領じゃないかと思います。
それに対して私たちは、はっきりとNO!ということを言っていく必要があるんじゃないか。
ただ問題なのは、今日このウィメン・イン・ブラックを見ても、わずかここにいる人は十数人ですね。
たった十数人。
それはこの今の世界の中で、日本の社会の中でどれほどのマイノリティであるか。
しかし私はマイノリティであっても、声を挙げる必要があると思います。
最近、私は林芙美子(はやし ふみこ)の生涯を描いた劇を観たんですけど、あの林芙美子が戦争中にどのように戦争に協力していったか、しかし戦争の実態を知るにつれて、反省して、そして戦後は反戦小説を書いたという、私たちは今現在起こっていることに対して、きちんと見極めて、それに協力することを私たちはしないような、そのような非常に強い、事態を見極めるような目を持つ必要があるんじゃないかと思います。
ということで、これから今日いらしていただいた、フィリピンの被害国の女性たち、そして私たちが一緒になって、あらゆる暴力をなくしていくための行動を、どのようにこの日本の社会の中で孤立していようとも、続けていかなければ行けないと思います。
ありがとうございました。
(2002年8月15日)
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